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Betula grossa
【ラブコメ 官能小説】

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酔ったフリして-4

「なぁ?お前....茉莉菜ともこの観覧車に乗ったのか?」
「うん....茉莉菜にせがまれて....」
「で?どうだった?」
「えっ?どうだったって?」
「惚けるなよ!茉莉菜とキスしたのか?」
「えっ?」
純君の顔が真っ赤になった。
「したんだ....」
「別にいいだろ....つき合っていたんだから....キスぐらい....」
「私が聞いたのは、観覧車の伝説通りのキスをしたかって事!」
「えっ?あっ....それは....残念ながら....」
「クックックッ....別に正直に答えなくてもいいのに......」
私が笑いながら言うと
「聞いてきたのは亜梨紗だろ....」
純君はふてくされたように横を向いた。
「何拗ねてるんだ?」
「別に....」
純君はそのまま外を見ていた。
「俺達って....つき合っているように見えたのかな....」
「えっ?」
「ほら....俊輔達が勘違いしたからさ....」
「ゴメン....アタシが調子に乗って....迷惑だったよな....」
「そんな事ないけど....亜梨紗は良かったのか?」
「えっ?何が?」
「俺と二人でこんな所にいて....彼氏とか怒らないかなって....」
「安心しろ!そんな奴いないから....」
「えっ?どうして?」
「どうして?って聞かれても困るけど....」
「ゴメン....亜梨紗って可愛いからモテるんじゃないかって思ったんだ....」
「だったら性格が悪いんじゃない?」
「そんな事ないよ!俺は亜梨紗がずっと俺と茉莉菜の事気にかけてくれた事知ってるよ!だから亜梨紗は優しい子だよ!」
(だったら....アタシを彼女にしてくれる?)
普通に冗談っぽく言ってしまえばいいのにそんな言葉も言えなかった。
「もしかしたらてっぺんで音楽を聞く事になるんじゃないか?」
「えっ?」
純君に言われて見ると確かにそうだった。
「俊輔達には悪い事したな....」
俊輔君達は観覧車に乗る順番を私達に譲ってくれたのだった。
「なぁ....隣......座ってもいい?」
精一杯の勇気を振り絞って口にした。
「えっ?」
(バ..バカ!何で聞き返すんだ!ありったけの勇気を振り絞って言ったのに....二度も言えるわけないだろ....)
「ううん....なんでもない....」
「そう?」
「うん....」
(何やってるんだ!こんなチャンスは二度とないのに!純君と逢える事さえ少ないのに....二人きりになれるなんてもう二度とないんだぞ!)
私はもう一度勇気を振り絞ろうとしたが、私の中にはそんな勇気は残っていなかった....
(亜梨紗!本当にいいの?)
もう一度自分自身に問いただした。
(でも....今の私にはもうムリだ....)
結局私は千載一遇のチャンスを手放してしまった....
「瑞希ぃ......」
遊園地の帰り、みんなと別れてから瑞希の胸で泣いた。
「大丈夫!前みたいにまた話せるようになったんだから....またチャンスはあるって!」
「そうかな?」
「うん!大丈夫だよ!」
瑞希はそう言って微笑んでくれた。
「でも....純君には伝わらなかったけど....隣に座ってもいい?なんて言えただけでも進歩だよ!」
「そうかな?」
「うん!」
瑞希にそう言われるとそんな気になってくるから不思議だ....




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