広がる不安-1
「うぅっ寒い....」
1月なのだから寒いのはあたりまえだけど、そんな事はわかっていても寒かった。もう少しで授業も終わり休みになる....朝寝坊が出来る喜びもあるがどこか淋しさも感じていた。目の前で同じ学校のカップルが楽しそうに話しながら登校てる....俺には出来なかった事だ....茉莉菜とは学校が違ったし体の事もあった....
(一年以上経ったんだな....)
ふと空を見上げると今にも降り出しそうな黒い雲が立ち込めていた。
「おはよう!純兄ちゃん!」
振り返ると笑美ちゃんと姫川さんが立っていた。
「どうしたの?葛城君?前のカップルを羨ましそうに見つめて....」
「別にそんなつもりは....今日はどうしたの?」
「へへへ....昨日美菜お姉ちゃんの家にお泊まりしたの....」
「ねぇ!」
二人は顔を見合わせて笑った。
「そうだ!あのね....今日笑美ちゃんと二人でお弁当を作って来たんだけど....三人で一緒に食べない?」
「えっ?いいの?」
「うん....ねぇ笑美ちゃん?」
「うん!楽しみにしててね!」
「それは楽しみだなぁ....」そんな事を話ながら歩いていると学校に着いてしまった。
「じゃあ..私はこっちだから....またお昼休みにね!」
笑美ちゃんは俺達に笑顔を見せて教室へと歩いて行った。
「ねぇ葛城君?さっきはどうしたの?なんだか淋しそうだったけど....」
「ん?別にそんな事は....どうしてそんな事を?」
「前のカップルを羨ましそうに見つめていたように見えたから....彼女がいなくて淋しいのかなぁって....」
「ハハハ....別に彼女が欲しいってわけじゃないけど....カップルを見てたら....茉莉菜の事を思い出して....あんな風に登校する事は出来なかったなぁって....」
「もしかして....まだ茉莉菜さん事....」
「それはないな....最近まで茉莉菜の事は忘れていたから....」
「ふうん....で....今はどうなの?彼女はいるの?」
「残念ながらまだ....」
「早く出来るといいね?」
「まっ焦らずやってくよ....ところで姫川さんはどうなの?確か前に彼氏はいないって言ってたけど....」
「そんなに早く出来るわけないでしょう!まっ好きな人ならいるけどね!」
そう言った時教室に着いて姫川さんは自分の席に行って女の子と話始めた。俺も自分の席に座ると拓弥が近づいて来て
「なあ....最近、姫の様子が変わったと思わないか?」
「ん?そうか?」
「ああ....三学期が始まった頃から明るく笑うようになったと思うけど....」
「好きな人が出来たからだろ!」
「何!それは本当か!」
「俺に聞かれても困るけど....本人が言ってるんだから間違いないだろ!」
「えっ!?」
「ん?どうした?」
「お前達そんな話までしてるのか?」
「まあな....」
「もしかして姫の好きな奴って....」
拓弥は俺を見つめた。
「ん?俺の顔に何か付いてるか?」
「いや....別に....」
「おかしな奴だな....」
その時先生が入って来た。