アツイ想い。-1
ピピピピ…ピピピピ…
毎朝同じ目覚ましで、毎朝同じ日々が始まる…
今日もまた、憂鬱な一日が始まった。
私の名前は神崎 舞。今春からデパートの某アクセサリー店に就職が決まった22歳。
獣医学の大学を卒業したのだが、何故か全く関係のない職に興味を持ち、ここに就職したのだった。
一見、華やかに見えるショップの店員だが、そんなに忙しくもなく、立ち仕事だし、客が見ていったアクセサリーを直したりするだけの仕事な為、暇疲れと足のむくみとの対決の毎日だった。
(こんな所に就職するんじゃなかった〜)
忙しい仕事の方が性に合っていた舞は、心の中で毎日つぶやくのだった。
「……せん。すみません!」
ボーっとしていた舞は目の前の客に気が付かなかった。
「あっ!申し訳ございません。どうなさいましたか?」
「女性にアクセサリーをプレゼントしたいんですけど、どんなのが人気ですか?」
「そうですね〜今年ですと、ハートをモチーフにした作品が人気でして、新作もハートなんですよ。」
「じゃ、このハートの新作を12個ください。それぞれ別々にプレゼントようで。」
「12個ですか!?」
私はビックリしてお客様を凝視してしまった。
するとお客様はにこやかに笑って
「はい。12個で。」
私は驚きを隠して
「…かしこまりました。少々お待ち下さいませ。」
と落ち着いて言った。
世の中には変わった客もいるもんだな〜アクセサリーの在庫も足りてよかった!っと胸を撫で下ろした。
その一件から数日後、私は大学の頃の友達3人と飲みに来ていた。
久しぶりの再会だった為、盛り上がり3軒目ドコに行こうか迷ってた時に
「お姉さん達何してるの〜?これからどっか飲み行くの〜?」
見るからにホストっぽい男性2人に声をかけられた。
ホストに興味の無かった私たちはシカトして歩いていた。
「シカトしないでよ〜。飲み迷ってるなら俺らの店来ない?」
懲りずに話しかけてくるホスト達。ウザすぎて早足になっていた。
「本当待ってよ〜!新規なら1時間千円で飲み放題だよ!フリータイムなー5千円!それ以上は取られないから!」
その言葉に足を止めた私達。フリータイムで5千円以上取られないって安くない!?私達は迷った。
「本当に?ホストってそんなに安いもんなの?」
「本当だよ!新規なら安いんだ。だから飲み来ない?」
私達は相談した結果、興味あったし、普通の飲み屋より安いってコトで行くコトになった。