少しだけ、揺れる-9
でも、自分の心の中で用意していた言い訳が、まさかこんな所で役に立つとは思わなかった。
しかし久留米さんは、
「別に言い訳しなくてもいいよ、変に思ったりなんかしてないから。
それに彼氏と仲良しなのはいいことだと思うし」
と、あたしの方を向いてそう言った。
その瞬間、ライターの話をされた恥ずかしさより、あたしに普通に話しかけてくれたことの方が驚きで、なぜだか動悸のように胸がバクバク高鳴り始めた。
同時に顔が一気に熱くなる。
あたしはさっきの鼻から煙を出して煙草を吸っていた自分の姿を思い出すと、このまま消えてしまいたくなるほど恥ずかしくなってしまった。
そしてあたしはたまらずに、煙草をブリキのバケツに投げ入れてやったのだった。