つがいの条件-4
「ん、ふ……ん……」
熱を押し付けられるたマルセラが、視線だけでチラリとジークを伺い、すぐに恥ずかしそうに逸らす。
好奇心旺盛な耳年増のくせに、こんな初心な反応が、どれだけこちらを煽るか気づいていないのだろうか。
つい、もっと色々させたくなってくる。
いっそ参考資料とやらに載っている事を、全部試してやるのもいいかも知れない。
時おり歯が指を擦る感触さえも、眩暈がするほど気持ち良い。大きく開いた口端から零れた唾液を舐めとった。
指をくわえ込んだ秘所から溢れる体液は、すでに残滓の白が殆ど抜けて透明な蜜になっている。不規則に抜き差しながら、残りの指で花芽の包皮を剥いて弄った。
マルセラが全身をビクビク引きつらせ始めた。指を舐める舌が止まり、喉奥から苦しげなうめき声を切れ切れに発する。
「は……どうしたんだよ。口が止まってるぞ」
わざと意地悪く言ったが、身をくねらされる度に押し付けた部分から快楽が伝わり、声が上擦る。上顎や歯茎を指でなぞり、舌を軽くつまむ。
秘所に入れた指を、くちゅくちゅと濡れ音が立つように動かすと、くぐもった悲鳴があがった。
口から指を引き抜き、抱き寄せて唇を重ねる。
締め付ける秘所をかき混ぜながら、自分の熱をいっそう擦りつけた。
身体が揺れるたび、唇の合間から零れ出るマルセラの嬌声が、より快楽を高めていく。
「マルセラ、好きだ」
夢中で訴えた。
「好きだ、おまえが好きだ。泣かせたくないのに、欲しくて止まらねぇんだよ」
マルセラの両腕が首元に伸び、引き寄せられた。触れ合う寸前の位置で、可愛らしい唇が吐息の合間から切れ切れの言葉を紡ぐ。
「わたしだって……欲しい、ずっと前から好きだったんだよ……」
もう言葉すら出なかった。信じられないほど満たされて、幸せだった。
乱暴すぎると思う勢いで口づけ、責めたてる。
指にマルセラが達した鼓動が伝わり、少し遅れてジークも互いの身体の隙間で精を吐き出す。
そしてふとマルセラの肩を見れば、あれほどくっきり刻まれていた噛み痕は、どこにも見えなくなっていた。