FATE NO.2-2
「(もう勝てないのか・・・?)」そう、思いかけた時だった。
「ぉーい、陸上馬鹿が負けてどーする気だ、勝て!!」
・・・甘い声なのに口調は厳しい。
こんな奴・・・アイツ以外に他に誰がいるもんか・・・
俺は愛しき人の声援を体いっぱいで受けとった瞬間から、すぐに・・・俺は前の選手を抜きゴールした。
会場が激しく湧く・・・
そして最後に俺に抜かれた二位の選手が俺に言う。
「なぜ最後あんなに伸びてこれたんだ?」
俺は迷わず答える。
「女神の息吹のおかげ・・・・だな。」
試合が終わってから一週間。
この一週間はとても騒がれた。
直喜を筆頭にクラス男子全員からサインをせがまれ・・・女子の全学年全員からキャーキャー言われ・・・先生達もキャーキャーだ。ま、日本中学新記録を出したんだ、仕方ないか。
まぁ、そんなこんなでじき夏休みも終わる。
んで、夏休み最後の課題、フランス語暗記の最終チェックに俺は小川と挑んでいた。
「よっしゃ覚え終えたぜ、小川はどうだ?」
「私はとっくの昔に終わってるんだが・・・」
流石だった、学年一位は桁が違う。
俺みたいな学年百位以下の奴じゃ敵うわけなかった・・・
「すげぇ・・・そんだけ頭あったら公立トップの北長野高校いけるんじゃ?」「んーいや、私は東京に行くんだ、だからあっちの高校受ける、だから行かないぞ?究極陸上馬鹿男」
・・・な、なに?最後はあえて気にしないとして東京!?そんな・・・
それから俺は練習中ずっと上の空だった。
そしてすぐに小川が東京に中学卒業と同時に行くことが夏休み中に知れ渡る。
そのため、9月1日。
とんでもない事件が起こる。
〜昼休み〜
「俊、すげぇぜ大変だ!!」
「にゃろー・・・お昼寝タイムを・・・ぁーなんだ?」
「じ、実は・・・・かくかくじかじかで・・・」
直喜の話によるとなんと全校の男子ほぼ全員が小川への告白に打って出たのだ。
今まで実は小川は今日まで中学になってから告白は一度もされてなかった 。
いわゆる高嶺の花だったかららしい。
でも、転校と聞き、ほぼ全校の男子全員が行動を起こしたらしかった・・・告白した内の一人、直喜の話によるとだが。
そして告白してないのは全校男子で俺だけらしかった。
だから、「ほぼ全員」
それを聞いても俺は小川に告白したいとは思わなかった・・・
何と言うかそんなに軽く告白出来るような軽い気持ちじゃなかったからだ。
〜放課後〜
俺はいよいよ明日に控えたフランス語コンテストの最終チェックを放課後に教室で小川とすることになった。
「今日は・・・大変だったな・・・あれだけ人をフルのは疲れた・・・ぁーしんど」
小川が全員フッた?少し嬉しくなる。
「あぁ、聞いたぜ告白だろ?俺以外全員かららしいぜ?」
「なに・・・山岡以外?・・・・・・どーりで疲れた訳だ」俺を山岡って呼んだ・・・コイツよっぽど疲れてやがるな・・・
「なーなーもしかして小川は誰か他に好きな奴がいるのか?ぁーいたとしたら他校か!この学校にいるわけねぇからな!」
オレがそれを言った瞬間だった。
小川、変な顔をした。
見たこともないような変な顔。
そして何も言わず家に帰ってしまった。
結局それ以来小川に避けらるようになった。フランス語コンテストも互いにうまくいったのだが、俺と小川は終始まったく喋らなかった。
俺が話し掛けても、小川は無視をする・・・
なんでだ・・・たった一回変な質問しただけで小川に嫌われたのかよ・・・俺は・・・
そこから瞬く間に時は過ぎ卒業式当日。
小川は卒業式一日前に東京に行った。
あれから俺と一言も喋らないまま、だ。
でも、オレの小川に対する気持ちは変わっていなかった。
卒業式が終わり家に帰ろうとした時、誰かに呼び止められる。