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FATE
【青春 恋愛小説】

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FATE NO.2-1

静谷先生にあの話を聞かされてからすぐに夏休みに入った。
今日から八月、例のフランス語スピーチの練習初日だ。
なんでも本番は九月にあるらしく一ヶ月で文を暗記しろとの事、ただでさえ陸上に忙しいのにそんな無茶な!と思いながらも俺は温まりきった校舎に向かって行った。
教室につくと・・・・小川がいた・・・(ドクッ・・・)
心臓が痛い・・・夏休みに入ってから初めて見る小川はとても可愛かった。
「よ、山岡。陸上馬鹿の山岡がフランス語出来るなんて意外、話聞かされた時はびっくりしたわ、ホント。まさか陸上以外にも出来ることがあるなんてなぁ〜・・・」
見とれていると、その見とれていた対象から言葉をかけられる。
「い、意外?り、陸上馬鹿?てめぇなぁ・・・人を馬鹿にしすぎだぜ!」
慌てて言葉を返す。相変わらず、小川はキツい。そんな感じで練習が始まる。
始まって二時間くらい過ぎたくらいだろうか?
「・・・・・・・すげぇ」
思わず口に出てしまったのだが、小川はフランスマニアの俺を唸らせるくらいフランス語が上手かった・・・
「(やっぱコイツすげぇ・・・)」
そんなこんなで練習が終わる。帰り道、当然の如く俺達は二人きりになる。
「ぇーっと確か小川ん家近けぇよな?送ってやるよ」
「うむ、ありがと」
色気が無い、これが彼女の良い所、普通これだけ可愛かったら色気が嫌が応にもあるはずなのにだ。
「八月全国インターハイなんだろ?見に行ってやるよ」
ぼーっと俺が考え事をしていると、小川が切り出した。
「マジ?今年はまぁ京都でやるから、まぁ見に来れるけど・・・またなんで小川が?」
思いが漏れて小川にばれないように心に仮面を被りながら喋る。
「私だけじゃない、全国だから学校で見に行くらしいぞ?」
そうなのか・・・そういえば全国行くような中学じゃないしな・・・
「ま、全国頑張れ、フランス語もな。明日から頑張ろう。そんじゃ送ってくれてありがとう。バイバイ〜陸上馬鹿」
・・・・最後が余計だろ・・・見に来てくれるのか・・・ぜ、絶対勝たないと!!


そんなこんなで日が過ぎ、全国インターハイが始まった。
「さぁ、全国インターハイ、続いての種目は男子3000メートル決勝です」
そう、なんと俺は調子が異様に良くて順当に決勝まで駒を進めていた。
これでアイツに・・・小川にカッコいいとこが見せれるぜ・・・
そんな事を考えていると審判が行います、位置についてと言う。
ざわついていた会場だが、まるで全観客が息を合わせたかのように同じタイミングで一瞬に会場が静まり返る。
「ドン!!」
一斉に走り出す、縦一線、そんな中で俺は先頭にいた。
一気に会場が湧き出す。「俊〜うぉぉぉファイトだぁ!!いけぇ!!」
あの馬鹿でかい声は絶対に直喜だ・・・
「いっけー、ヤマピー!!」
他のクラスの奴の声まで・・・学校の皆来てくれてるんだ・・・
でも、なんでだろう、1番愛しい人の声は聞こえてこない・・・。
「いいぞ、ラスト一周だ、山岡!!」
顧問の「寺岡覚(てらおかまなぶ)」の声をきっかけに俺はペースアップする。
だが、その時なんとここまで俺にぴったりくっついていた選手に抜かれてしまう。
俺が少し負けている中で最後の直線にさしかかる。ゴールは近い。


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