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forget-me-not
【女性向け 官能小説】

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あたしが欲しかったもの-1

陽介に再会したあの日から、いや、正確には陽介の隣にいたカノジョの姿を目の当たりにしてから、あたしの頭の中ではあの煩わしいアラーム音が消えなくなってしまった。


陽介を想いながら自慰行為をしても、他の男に抱かれていても、ふとした瞬間に、頭の隅でピーピー鳴り響く。


うざったいったらありゃしない。


その音が鳴れば、反射的にあの平凡な、か弱さだけが取り柄みたいなあの娘の顔が勝手に浮かんでくるのだ。


そして、陽介があの娘を抱く妄想が勝手に浮かび上がっては、あたしを追い詰める。


陽介に付き合っている女の子がいても、ここまで強迫観念に襲われることなんてなかったのに、なぜあたしは、歴代カノジョの中でも最も冴えないこの娘に対して警告音がなるんだろうか?


あたしは、目の前でそわそわ落ち着かずに、小さく肩を竦める恵ちゃんをジッと見つめながら、脚を組み直した。


「もう注文しちゃった?」


何度も足繁く通っていたこのカフェはあたしのテリトリー。


路地裏にありながらもこのお店は、いつも混雑するくらい人気がある。


何でも、ここで売られているスイーツが全てお店の手作りで、ここのパティシエがどこかの有名なホテルで働いていたからだとか、フランスかどこかで修行してたからだとか、そういうのが人気の秘密らしい。


そう言ってあたしにこの店を教えてくれた、昔の男の得意気な顔をぼんやり思い出しつつ、意識を恵ちゃんに向けた。


「い、いえ、まだです……」


「そっか。ここね、ケーキはみんな美味しいんだけど、特にオススメなのはガトーショコラなの。あたしはそれにするけど、恵ちゃんは?」


「あ、じゃあそれで……」


確かここは、それが売りだったような気がしたのを思い出したあたしは、ニッコリ笑って店員さんに手をあげた。







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