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forget-me-not
【女性向け 官能小説】

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あたしが欲しかったもの-3

「う、うん……。たまに……かな」


明らかに口が重い彼女。


よっぽどあたしが陽介のことを知ろうとしていることに警戒しているみたい。


まあ、気持ちはわかるよ?


陽介とどういう関係なのか、不安で仕方ないんだよね?


でもね、陽介は不安に思われたりとか、疑われたりとか、そういうのが大っ嫌いなの。


自由でいたい陽介と、他の女の存在に不安になる恵ちゃん。


やっぱり陽介とこの娘の付き合いは、互いに無理し合ってんじゃないかなって思う。


そりゃ、彼氏に他の女の影がちらついていたら、不安になったり嫉妬したりするのは、普通の女の子が持つ、当たり前の感情だ。


だからこそ、そういう娘に陽介は合わない。


陽介はカノジョがいても、平気であたしとセックスできるような男なのだから。


遊び人の陽介と付き合うような女は、他の女の影くらいで動じる程度じゃ務まらないのだ。


あたしはさらに、二人の付き合いのボロを探すべく、雑談混じりに質問を浴びせかけた。


「そっかあ。じゃあデートって言ったら、こういうとこや可愛い感じのお店で食事したり、映画観たりとかしてるのね?」


「そうだね……、あとはカラオケ行ったり、あたしの服買いについてきてもらったり、とかが多いかな」


何だか、取り調べをしている刑事になったような気分だ。


一語一句、恵ちゃんの言葉のあら探しをして、片や彼女は怯えながらも慎重に、言葉を選んで答えて。


二人の関係は、陽介の単なる気の迷いで始まったものだと信じたかったあたしは、その希望的観測を確かなものにしたくて、いろいろ問いただしていた……けれど。


美味しいと評判のこのガトーショコラ。頑張って喉の奥に流し込むけど、全くもって味気ない。


なぜなら、その希望的観測も、粉々に打ち砕かれてしまったから。


――それほど、陽介がこの娘に対して真剣に付き合っている、ってのが彼女の答えから思い知らされてしまったから。


恵ちゃんの口から紡がれた陽介の姿は、あたしの知ってる陽介ではなかった。


雑貨が好きで、服が好きで、可愛いお店が好きで、街をブラブラするのが大好きな恵ちゃんは、陽介を連れ回すデートばかり。


それにちゃんと付き合う陽介。


誘うのは恵ちゃんの方から、が圧倒的に多いみたいだけど、陽介も陽介で、面白そうな映画を調べたり、自分が友達から聞いたという美味しいお店に連れていってくれたりするみたいだ。


さらには陽介の提案で、旅行にも行ったことがあるのだとか。


もちろん今までだって、陽介は歴代のカノジョと旅行に行ったことがある。


でも、“自ら”そんな計画立てたなんて話は聞いたことがない。


今まで陽介は、カノジョに対してマメな付き合い方をしてこなかったはずなのに?


またあのアラーム音が頭の中で鳴り響いた。




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