ある冬の日-1
「ひゃ~寒い~。今日も冷えるよね~。手が冷たくなっちゃった~。」
美しいボクの担任鈴村紗綾先生は、白く綺麗な手のひらを、僕の頬にあてた。ボクは、なにも答えず、ひたすら机にむかい、-国語小学生常用漢字ドリル-をやっている。
「スリスリスリっ」て、先生は、可愛い声を発し、笑顔で、今度はボクの頬を手の甲で、撫でてくる。ボクは恥ずかしく照れて、耳を赤くし、うつむきながら、その手を払いのけた。
「きゃっ、照れてる。雄くん、今日も可愛い~。」
て、いいながら、今度は、ボクのほほを人さし指で、押してきた。ボクは、鉛筆を持ったままの手で、また払いのけた。そしたら、今度は、頭を撫でてくる...。
ボクと紗綾先生だけの教室では、毎日こんな事の繰返しだ。
先生は、教室にある、ダルマストーブの前にある丸椅子に、腰かけた。ストーブに、両手を近づけ手を温める紗綾先生。細く長い指がきれいだ。ボクは、チラりと、ストーブ前に座る紗綾先生の横顔と綺麗な手に、視線をあてた。