トラブルの果てに-1
あたしの仕事は事務補助ってやつだ。
コピーをとったり、来客があればお茶を出し、古新聞なんかを束ねてゴミ捨て場に持って行き、各課の週間予定表を作り、会議があれば資料やお茶の準備をする……というごく簡単な仕事ばかりをする、いわゆる“雑用係”だ。
仕事に燃える友達に、あたしの仕事内容を話すと“あんた、そんなんで満足なの?”と目を丸くして驚かれる。
でも、怠け者のあたしにはこの仕事はすごく向いていると思う。
重要な仕事は全て職員の人がやるから、責任は持たなくていいし、時間に追われるわけでもない。
“仕事を探すのが仕事”みたいな優雅な臨時職員業、2年間だけじゃなくずっとやっていたいくらいである。
まあお給料はあまり胸張って言える額じゃないけど、女だしいずれ結婚して旦那に食べさせてもらう身分だし、気楽に勤めさせてもらうと割り切ることにした。
そんなあたしは、仕事が一段落するたびに喫煙室に通いつめる回数が増えていった。
あたしが数分席を外した所で、誰も何も言わないし。
文屋さんはあたしが喫煙者ということにショックを受けたらしく、前より熱っぽい視線を投げてこなくなった。
それはそれで、好都合だったりする。