投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

もう君に会えないの最初へ もう君に会えない 31 もう君に会えない 33 もう君に会えないの最後へ

トラブルの果てに-4

副島主幹は、


「あいつはさ、昔は見た目通り明るくて、ノリのいい奴だったんだけどなあ」


と、淋しそうに呟いていた。


その言葉に、あたしは心の中で驚きの声を上げた。


あたしからすれば、そっちの姿の方が信じられない。


「じゃあ、なんで久留米さんは変わっちゃったんですかあ?」


無邪気に質問を投げかけるクミちゃん。


質問しづらいことを空気も読まずに口に出せるのは、クミちゃん独特の天然故に為せる業なのかもしれない。


副島主幹は煙草をブリキのバケツに放り投げると、オールバックの髪の毛を軽く撫でつけてから、


「まあ、アイツも色々あったんだよ」


と、伏し目がちに答えた。


副島主幹は、ロカビリーが似合いそうな雰囲気の、ちょっと怖そうな人ではあるけれど、話してみればとっても気さくで面白い人である。


普段は冗談ばかり言ってあたし達を笑わせてくれる副島主幹が、真顔でそう答えたことにより、久留米さんにはワケ有りな過去があると、なんとなく思った。


「ふうん、久留米さんってめんどくさそうな人なんですね」


クミちゃんは、あっけらかんとそう言うと、まるで久留米さんを見限ったように、吸ってた煙草をポイッとバケツに投げた。


そして、次の日からクミちゃんは


「建設課の桑原(くわはら)さんってカワイイ」


と、語尾にハートでもついてそうな口調でキャピキャピしていた。



もう君に会えないの最初へ もう君に会えない 31 もう君に会えない 33 もう君に会えないの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前