トラブルの果てに-2
喫煙室に来れば、喫煙者によるコミュニティーのようなものが自然と出来上がるようになる。
ヨボヨボにやせ細った同じ総務部のおじいちゃん嘱託職員の尾藤さんとか、テキ屋が似合いそうな風貌の建設課主幹の副島(そえじま)さん、さらには福祉環境課の臨時職員・クミちゃんなんかとも何度か顔を合わせるうちに、打ち解けるようになっていった。
次第に気心が知れるようになれば、単なる世間話からプライベートな話、果ては職場の噂話なんかがチラホラ聞こえてくるようになる。
農林部の誰それは誰それと付き合ってるとか、福祉環境部の課長はまたお見合いに失敗しただとか。
そうして噂話を広げていくうちに、時々久留米さんの話題も出てきた。
二十歳を迎えたばかりのクミちゃんは、久留米さんをカッコいいと騒いでキャピキャピしていた。
クミちゃんは、大人の男の人に憧れが強いようで、建設課のテキ屋主幹・副島(そえじま)さんに
「久留米さんってどんな人なんですかあ?」
と甘ったるい声でしきりに質問していた。