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もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

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トラブルの果てに-17

あたしはすぐさま二人のもとに駆け寄り、恨めしそうにジト目で見やる。


思いっきり文句をつけたいのに、なんでか泣きそうになって言葉が出てこない。


元はと言えば、コイツらのせいでとんだトラブルに巻き込まれちゃったんだ。


「あれ宗川さん、どうしたの?」


呑気すぎる松村主査の声に、怒鳴りつけてやろうと決めた瞬間、デスクに戻りかけた久留米さんがこちらにまたやってくるのが見えた。


「あの、松村主査」


ほとんど関わりのない久留米さんに話しかけられ、松村主査は少し面食らったように彼を見た。


「どうした?」


「昼休みにパスポートの申請に来てたお客さんがいたんですけど、住基ネットってこの臨時の娘は使えないんですってね」


久留米さんがそう言うと、松村主査はハッとした顔になった。


「だからお客さん、すぐに受け付けしてもらえることができなくて出直してもらうことになったんですよ」


「…………」


「俺、そちらの業務についてはよくわからないし口挟める立場じゃないけど、ちょっと無責任なんじゃないですか?」


「……そうだな」


「さっきのお客さんは出直してくれることになったからよかったけど、変な客だって来るかもしれないんだし、臨時の娘に任せっきりにしないでちゃんとどちらかがついててやって下さい」


久留米さんは主事である。


主査と主事とは立場で言えば主査の方が上司にあたるわけだけど、久留米さんは物怖じせずにはっきりあたしの言いたいことを全て言ってくれた。





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