上り坂の途中-6
小夜は、俺以外にセックスの経験がないせいか、これに関してはやたら消極的で、コトを始める前のシャワーと、電気を豆電球にするのが絶対条件となっている。
俺としては、小夜が気にしていると思われる身体のコンプレックスも、小夜自身が放つ匂いや汗や体液の全てまでも、全然気にならない、いやむしろ、五感全てで小夜を感じたいってのに、当の彼女は断固拒否。
愛しているからこそ、全てをさらけ出して欲しいっていう俺の気持ちをどうしてわかってくれないのか?
「なあ、小夜、いいだろ? ここんとこずっとヤってなかったし、もう俺限界なの」
「じゃ、じゃあ、せめて電気だけでも……やあっ!」
いまだ決心が鈍っている小夜の手を片手で掴みあげ、頭の上で押さえつけると、彼女は高い悲鳴を上げた。
白いニットの裾をグイッと捲りあげると、白い腹となんとも可愛らしい縦長のヘソがちょこんと顔を出す。
途端に脳天がズクンと疼く。
さらには、寄せて上げるが売りだというピンクのブラが目に入れば、俺の理性は完全にショートしてしまい、気付けば俺は、ゴクリと生唾を飲み込んでから、その柔らかい双丘の谷間に顔を埋めていた。
「やっ、やだっ! 翔平っ、シャワー浴びさせてぇ!」
服の柔軟剤と、彼女自身の甘酸っぱい汗の匂いで、俺の脚の間はジンジンと熱を持っているのがわかる。
谷間に一つある、小さなニキビみたいなものですら愛おしくてたまらない。
「なあ、俺はお前のコンプレックスも全部全部受け止めてやりてえの」
そう言って小夜が履いていたジーンズを脱がそうと、ベルトをカチャカチャ緩めてやると、ブラとお揃いのピンクのツルツルした生地が微かに覗いた。
「し、翔平……。あたし……明るいとこで身体を見られるの怖い……」
「俺がそれくらいで嫌いになると思ってんの? ありえねー。どんだけ俺がお前を好きか知らねえんだな」
「や……」
恥ずかしそうに顔を背けるその仕草が、これまた一層俺を煽る。
電気を消す余裕すらなくなった俺は、
「……今からそれを証明してやるよ」
と悪魔の笑みを浮かべて見せた。
そして――。
小夜のヒッと息を飲み込む音と、俺の膝の辺りでギシッ、とスプリングの軋む音を合図に、俺はきめ細やかな彼女の腹部に唇を近付けた。