上り坂の途中-5
俺はヘッドロックをかけつつも、小夜の身体を自分の元へゆっくり引き上げた。
そしてそのまま、ギュウッと抱き締める。
まるで、悪い虫から守るように。
「小夜、たとえモテなくたって、俺だけが好きでいれば充分だろ?」
小夜に真実を教えないなんて、我ながら卑怯だと自覚はしている。
でも、だからこそ小夜を誰にも渡したくないんだ。
「うん……」
後ろから見える小夜の耳は真っ赤っ赤。白いうなじもよく見りゃほんのりピンク色。
あー、もう、我慢できません!
俺は彼女の耳を軽く噛んで、それからゆっくりと彼女の背後から唇を求めた。
小夜も少し振り返ってキスをしやすいポジションをとってくれる。
恥ずかしそうに揺れる瞳。それがゆっくり閉じられると俺のキスはライトなものからディープなものへと変わっていった。
「ん……」
唇の隙間から漏れる吐息が色っぽい。
小夜の悩ましい吐息一つで俺のエンジンは一気にかかる。
そのままゆっくりベッドに押し倒すと、俺の手は小夜の身体をまさぐり始めた。
ニットのフワフワした手触り、ジーンズのゴワゴワした手触り。
そんな服越しからでも伝わる小夜のふっくらした身体の柔らかさ。
ああ、早くその素肌に触れたい。
就活のせいで、セックスもしばらくお預けになっていた俺にとって、ムード作りよりも焦る気持ちばかりが先走り、ついつい荒々しく服を脱がそうとしてしまう。
「し、翔平……! ちょっと待っ……」
抵抗する小夜の声もろくに聞かないほど、俺は小夜に飢えていた。
「翔平っ……、シャワー浴びさせて……」
「いいよ、そんなもん」
「それに……で、電気ついてる……」
「全部見せろよ」
いつもなら聞き分けよく小夜の言う通りにするのだが、今の俺は完全に狼と変身してしまったがために、やや強引に小夜を求めていた。