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埃と女と女の糸
【ファンタジー 官能小説】

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それにしても大胆な行動をとってしまった。公園から廃墟公団住宅までの記憶が曖昧なのだ。

私は夢の中で『これは夢だ』と気付く事がある。そういう幸運な時は普段の常識人のたがを外し思うままに行動をする。大抵は性欲の発散を目的としたイメージが浮かび、貧相な欲望をみたしている。街で出会う女性のお尻を撫でまわったり、手当たり次第にキスをしたり。

所詮夢の中である。計画的な犯行を行う時間的余裕はないし、思うように体も動かないことが多い。なにしろ場面場面が断片的で統一した価値観で夢が進んで行かない。

その条件下で欲望を達するには、目の前にある設定に応じてインスタントな性欲処理をするに限る。
もちろん夢だから全ての設定は自由なはずなのに寝ている脳はそんなに都合良く働いてくれない。

しかも『これ、夢じゃなかったら…』という疑いも度々脳裏をよぎる。そんな厳しい条件下で最後までの性交、射精まで達成出来た夢は格別である。

欲望のままに行動して得た身体的快楽は現実世界では味わえないものである。


公園からこの廃墟公団住宅までの記憶のおぼろげさが夢のそれと重なる。自分の目の前には肌の透き通るような女が、埃まみれの部屋の椅子に座っている。これは現実なのだろうか。


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