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埃と女と女の糸
【ファンタジー 官能小説】

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歩いていると知らない古びた団地の前に着いた。

私の右手は女の左手首をつかんでいる。私の手のひらから出た汗で、女の手首はぬめっていたが、女の顔を確かめると相変わらず無表情であった。

女とは数分前に会った。私は日本中の廃墟を巡って旅をしている途中である。ただし、廃墟マニアというわけではなく30歳を前にリストラにあい何もかもどうでも良くなり、何か旅をする理由を当てはめただけである。

少しばかり貯まったお金で半年の時間を潰すだけの発見無き自分探しの旅だ。廃墟と自分を重ね合わせたなんていうロマンチストでもない。でも廃墟から香り立つ破滅臭に甘さを感じていたのかもしれない。

女とは偶然立ち寄った公園で会った。ベンチで一人であやとりをしていた女。目的地の廃墟の場所を聞こうと声をかけたがまるで私の存在を無視しているように、いやむしろその女だけが別の世界にいるようなたたずまいを感じた。

引き寄せられるように女の間近まで近寄って再び声をかけたが反応は同じ。

透き通るような指は、あやとりの赤い毛糸が良く似合っていた。
思わず手を伸ばし毛糸に触れてしまったが、女は気に留めることもなく一人であやとりを続けていた。

もう一度声をかけたが反応は無い。

もう一度毛糸に触れたが反応は無い。

私は好奇心から女の指先に触れた。
女の反応が変わった。私からの刺激は感じたようだ。でも私の存在に気を留めるでもない。

本当にこの女は同じ空間で生きているのだろうか。私は強く女の手をつかみ引き上げベンチから立たせた。

大胆な事をしてしまったのにも関わらず、女の反応は不可解であった。誰かに手をつかまれているのは認識しているようであったが抵抗する素振りは見せない。風に流される木の葉のように、全ての力に身を委ねているようだった。

私は身震いした。当初の目的地であった廃墟の古い公団住宅に女を連れてきてしまった。とんでもないことをしている。公園からここまでの記憶が霞のようにおぼろげである。

私は女の手を引き建物の中に入った。
この建物の構造は階段の踊り場を挟んで二世帯が玄関を向かい合わせになっている。女の手をひき狭い階段をあがる。ふたりの靴音が階段の空間に反響して屋上まで突き抜けて行く。女の表情をうかがうと相変わらず表情が無い。


三階まであがり玄関扉の前で立ち止まった。私の歳でも古く感じるほどの子供向けキャラクターシールが扉に貼ってある。かつてクリーム色だったであろう鉄の扉はドアノブ付近と足元のペンキが剥がれグレーの色を露わにし寒々しさを醸し出している。重い玄関扉のドアノブを回すとすんなりと開いた。不思議な事に鍵がかかっていないことをあらかじめ知っている感覚だった。開けるとすぐに三畳程の簡易キッチンが見えた。

何年も使われていない様子だが、家財道具はそのまま置き去りにされ、止まった生活感が残っている。ほこりの薄く積もる古いフローリングだが、妙に照りが強いのが印象的。

夕陽が床に当たって照り返し、目の奥まで赤い光があたる。床が平らではない為に、反射した光もまだらな形を見せる。

靴を履いたまま家に上がった。薄いほこりで覆われた古いダイニングセットがあり、その椅子に女を座らせる事を決めた私。

座れるように椅子をテーブルから引き出すと4本の弧の筋を作りながら床のほこりが舞った。

女の両肩を掴み椅子の前に立たせる。少しだけ強く手に力を入れて肩に痛みを与える。女は正面を向き目を開いている。そこには私が女の肩を掴んでいる私がいるのだが視線は合っていない。正確に言うと女の視線は私の顔の部分に向けられているのに私の背後はるか遠くを見ているよう。
それから静かに女は目を瞑った。
少し笑み含んだように感じたのは気のせいか。

私は躊躇せず女の腰の横にあるスカートのファスナーに手をかけた。ファスナーのつまみを下に下ろすと細い隙間があいた。女の腰はそれほど肉付きが良くないせいかサイズが合っていないせいか、ファスナーの隙間は両側に広がらない。ファスナーの上部のホックを外し手を離す。纏っていたスカートがパサリと床に落ちた。

スカートが落ちたと同時に女を中心にして、円形状に床のほこりが巻き広がる。
女の胸の中心部を私の手のひら全体で軽く押すと、ストンと座面に座った。

女の表情に変化は無い。


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