滲む瞬間(とき)-5
(4)
友紀をうつ伏せにさせ、その体を跨ぐと背中にそっと唇を押しあてた。甘酸っぱい汗のにおいが鼻腔をつく。さらに嗅ぐと少女の肌の匂いが甘く追いかけてくる。
舌先を当て、線を引くように腰の辺りまでなぞった。友紀の体が小さな反応を見せる。かすかに強張ったのだ。
(これは……)
脇腹へ移動する。皮膜のような柔肌。つつーっと舌を這わせる。
「あ、あ……」
一瞬の硬直と思わず洩れた声。
(友紀……)
自分の動悸がはっきり聴こえた。
手のひらも加わった。
腰回りを摩りつつ、舌は盛り上がった尻へ。舌というより唇を押しつけ、顔を埋めていた。
(引き締まった尻肉……)
蒸れた臭いがする。
(食べてしまいたい……)
完全な愛撫になっていた。
「特別パワーだよ……」
我を忘れかけながらもフォローを交えた。
尻へ、腰へ、背中へと頬を擦り寄せる。
「せんせい……」
友紀の掠れた声がきこえる。
「きれいになってる。友紀ちゃん、きれいになってるよ」
「せんせい……」
細い声が泣いているようだ。異常を感じたのか。……
「もっともっときれいになるんだ」
体を仰向けにして見下ろした。
『自制は利かない……』
心で呟きながら、椎名はズボンを下ろし、下着を脱ぎ捨てていた。
(乳首は果実……)
美しいものは美しい。
乳首を口に含んだ。
「あ、せんせ……」
しょっぱい汗の味。
(美味しい、美味しい……)
「せんせい……いい気持ち……」
(感じてきた……感じてる……」
「友紀ちゃん、きれいだよ、きれいだよ」
薄い胸を舐め、乳首へ戻り、乳輪、そしてまた膨らみへ。
(ああ!友紀)
意識が遠のき、気がついて我に返り、没我の境に向かっている感覚があった。
抱きしめた体の手ごたえは心もとない。儚い夢を抱き抱えているような哀しささえ覚える。
(こんな少女に酔いしれるとは……)
昂奮は疾風となって何度も体を吹き抜ける。その勢いは明日香を抱く時とはまったく異質のものであった。
(苦しい……)
そう、苦しさを伴っているのだ。
(なぜだろう……)
いままでどんな女をものにしても感じたことのない胸苦しさ。……陶酔しながらも心が締め付けられる。……
「せんせい……もわっとして……変なの」
言いながら体を突っ張らせた。
はっとした。
(そうだ……)
自分は『女を作ろうとしている』ことに気づいた。女にする、のではない。友紀の心と体から力ずくで『女』を引き抜いているのだ。苦しいのは友紀なのだ。それが伝わってくるのではないか。
「友紀ちゃん、きれいだ。きれいだよ」
身を起こした。
「友紀ちゃん、もっときれいにしてあげる」
パンツに手をかけ、一気に引き下ろした。
「ああーん……」
吐息混じりの声を洩らした友紀は隠すこともなく秘境をさらけ出した。
息を呑んで見入った。初めて『男』の目に触れた密室の扉。産毛さえ見えないほど滑らかな膨らみ。眩しい……。
なだらかな丘の曲線が途中から亀裂とともに急勾配に抉られている。その割れ目はまるで鋭利な刃物で一筋切られたように閉じられている。
(どうだ?……)
脚をそっと外に開かせる。秘肉がわずかに覗く。初めて外気に触れるのかもしれない。それは、ほんの一滴の紅に染まった淡い色。
光った、と思った。目を凝らすと、入り組んだ内肉の合間に透明な澱みができている。指でそっと開いた。とろみのある液が秘唇に滲んでいった。明らかな『しるし』であった。
(見たぞ……女のしるしだ。初滴だ……)
「友紀ちゃん、大人にしてあげる。大人になるんだよ」
友紀は朦朧となっているのか返事をしない。
(もう我慢できない)
椎名は友紀の脚を上げ、一物を当て、先端で狭い筋目を押し開けた。ぬめりが糸を引く。
「友紀ちゃん、好きだよ」
筋が裂け、亀頭の形に丸く開いた。
「うう!」
友紀がのけ反って呻く。
「きれいな大人になるんだ。我慢して」
押し込み、先端が差し込まれた。
「すぐ終わるからね」
見ると友紀が顔を歪めながら頭を擡げていた。その瞳は異様な輝きをみせていた。
「せんせい……あたし、きれい?」