鎮守の森-2
その露天風呂までの獣道を辿る間、春菜はずっと健太郎の腕にしがみついていた。
「どうしたの? 怖い?」
「う、うん……ちょっと」
「大丈夫だよ」健太郎は努めて明るく言った。
「は、離れないでね、ケン」
「わかってるって」
ごろごろした岩で囲まれた、小さな露天風呂だった。傍らに床のない屋根と囲いだけの小さな小屋があった。
「これって天然温泉なのかな……」健太郎が湯気の立ち上っているその湯だまりに手を浸した。
「どう? ケン」
「ぬるめだけど柔らかいお湯だよ」
「そう」
春菜は恥ずかしげに胸を押さえていた。
しゃがんだまま健太郎は春菜を見上げた。「入ろうか」
「うん……」
「恥ずかしがることないよ。二人きりだし。それに俺がいるから大丈夫。安心して」
「うん。そ、そうだね……」
健太郎は小屋の中に電灯のスイッチを発見した。風呂の脇に立っている傘付きの電灯が、オレンジ色の淡い光で、白い湯気の立ちこめたその辺りの空間を浮かび上がらせた。
「先に入ってて、ケン」
「わかった」
健太郎は服を脱いで、タオルだけを持ち、一度掛かり湯をして、身を湯に浸した。
小屋の中でかすかに衣擦れの音とともに春菜の声がした。「ケン、いるー?」
「いるよ。心配しないで」
すぐに春菜がタオルで身体の前を隠しながら小走りで小屋を出てやって来た。そして焦ったように掛かり湯をして脚から温泉に入り、湯の中をじゃぶじゃぶと健太郎に近づいた。
「怖がらなくても大丈夫だって」健太郎は春菜の腋に腕を回した。
二人は湯の中で、寄り添って空を見上げた。
「ほんとに静かな夜……」春菜が小さな声で言った。
「都会の喧噪を忘れるね」
湯に浸かっているうちに、健太郎の身体はむやみに熱く疼き始めた。
健太郎は思わず春菜の肩に手を置き、もう片方の手で頬を撫でた。そして焦ったように唇同士を重ね合わせた。
「んっ……」
眼鏡の奥で春菜は目を閉じた。
二人はそのまま唇を重ね直しながら、長く情熱的なキスをした。
健太郎の手が春菜の乳房を包み込んで柔らかくさすった。
春菜は健太郎の唇で口を塞がれたままうっとりしたように呻き声を上げた。
健太郎の手が春菜の身体を滑り降り、湯の中で揺らめいている愛らしい茂みをかき分け、秘部に到達した。
「んあっ!」春菜は思わず健太郎から口を離して小さく叫んだ。
健太郎はそのまま指を彼女の谷間に挿入させた。
「あ、ケン……」
春菜の息が荒くなっていった。
突然健太郎は両腕で春菜を抱きかかえ、湯の中で立たせた。そしてもう一度彼女の口をその唇で捉え、激しく吸い始めた。春菜も健太郎と舌を絡め合い、彼の背中を強く抱きしめながら腰を健太郎の身体に押しつけた。
健太郎は春菜の左脚を持ち上げた。そして少し腰を落として、いきり立って脈動している自分のものを彼女の秘部に押し当てた。
「ルナ、いい?」
春菜は焦ったように言った。「来て、来て、ケン。抱いて。ぎゅって」
健太郎と春菜はそのまま一つになった。
二人は再び熱いキスをしながら激しく揺れ動いた。
「ケン! イっちゃうっ! あああっ!」口を離した春菜が、ひときわ大きな声で叫んだ時、湯の中で彼女の肌は赤く上気していた。
「ぐうっ!」健太郎も眉を寄せてのど元で呻き声を上げた。
びゅくびゅくっ!
健太郎の内から湧き上がった熱い想いが、春菜の身体の奥深くに、何度も勢いよくほとばしり出た。
二人は細かく震えながら、長い間固く抱き合っていた。