出会う-7
チラチラ久留米さんを盗み見ているあたしに気付かない彼は、ひたすら無表情に煙草の煙を吐き出している。
笑わないわ、無口だわ……ってホントにそうだ。
喫煙室のような狭い空間では、誰かがいれば当たり障りのない世間話なんかを交わす、そんなぬるいルールがある。
だからあたしも煙草を吸うことで他の課の人と結構コミュニケーションをとることができた。
それなのにこの男ときたら、あたしの存在なんて見えてないかのようにスルーしてるし。
何より“話しかけんな”オーラが彼の全身から放出されているような感じを受ける。
文屋さんの暴言はひどすぎだと思うけど、奴の言ったことはそれなりに正しかった。
ってことは。
……やっぱりこの人はゲイなのだろうか?
もう一度久留米さんの顔を見つめてみる。
精悍で凛々しい顔つき。
新宿二丁目でモテそうって確かにそうかもしれないけれど、この人、見た目だけなら女の子にもモテると思う。
背は180センチくらいはあるだろうか、そしてガッシリした身体つき、スーツ姿も結構様になっているし。
これでゲイならもったいなさすぎる。
あ、ゲイじゃなくても童貞なんだっけ。