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想いを言葉にかえられなくても
【学園物 官能小説】

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想いを言葉にかえられなくても《トロイメライ》-2

………………
 大好きだった幼馴染みの聖(せい)本名は酒井 聖二(サカイ セイジ)セイって呼んでるのはあたしだけ。
 ずっと一緒だったから…それは桜舞う小学校の入学式から。
 いつも一緒だったからキスもセックスも、興味から実行に移るまで簡単だった。だって一人じゃ出来ない事だけど二人だったから。アダムとイヴみたいに当然の流れだった。

 真っ暗な押し入れで二人で向き合っていた、あの頃。これは人に知られるのは良くないって本能が警告していたから。

「聖、さっきのドラマでちゅーしてたね。」
「うん。お母さんに見ちゃダメって言われたけど…ちゅーの後、裸になってたよ」
「お風呂じゃないのに変だよね。」
「苺ちゃん、ちゅーは結婚式でもするんだよ。だからさ、失敗しない様に練習しないと。」
 他愛も無い会話。唇が触れるだけのキス。ドキドキしながら何度もした、あの頃。
 ……初めてのキス。聖とずっと一緒だって信じて疑わなかった。

 キスの次の階段は意外にも早かった。
 小学校高学年の頃だったかな。2次成長の話を聞いた。『生理が来る事は恥ずかしい事ではありません』赤ちゃんが生まれるんだ…位にしか解らなかった。自分の生理がいつなのかと、そう言う不安で一杯だったから。
 そんなある日。聖の部屋でいつもの様に宿題を片付けていた。聖のお母さんはパートで、聖は鍵っ子だったから。
「ねぇ聖。」
「何?見せても良いけど間違い多いよ」
「宿題じゃなくて。あたし、生理が全然こないの」
「……」
 相手が聖じゃ無かったら、きっと誤解したよね。だけど、聖に相談するくらい不安だったから。
「皆、来てるんだって。来てないの、あたしとマキちゃんくらい。ねぇ、どうしよう…一生来ない身体なのかも」
「…大丈夫だって。俺、男だからよくわかんないけど。そう言うのって個人差があるって先生言ってたじゃん。」
「でも…」
 当時、今よりも小さくて痩せていたあたし。いつも一番前のおチビさん。発育が悪かったから仕方ない話なんだけど。
「ん…じゃあさ、こう言うのはどう?」
 と言って、シャーペンをテーブルに置いて顔を近付けた。
「生理が来ると赤ちゃん出来ちゃうんだろ?つまり本番ってわけだ。だからさ、本番前には練習が必要ってわけ。わかる?」
「う…うん」
 正直、解っていなかった。本番と練習は解ったけど、なにを意味しているのか…これからどうなるのかなんて考えもしなかった。
「だから、セックスの練習しよ。」
「セックス?」
「うん。兄貴に教えてもらったけど、セックスが赤ちゃんを作る行為なんだって。すっげー気持ちいいんだって。」
「え?気持ちいいの?」
「うん。だから、やろうよ。」
「うん」
 聖が「〜やろうよ」って言うのが嬉しかった。それだけ。ホントにそんな理由で返事しちゃったんだ。
「んと…一人でするみたいに裸になって…」
「一人でするみたいにって…何を?」
「えぁ?……いや、その…」
 聖は男3兄弟の一番末っ子だったから、この時点でセックスについて私よりは詳しかったみたい。自慰もしてたみたいだし。
「…それより、苺も脱げよ。俺ばっか恥ずかしいじゃん」
「う、うん…」
 いつも教室で着替えるんだけど、見慣れた聖の下着姿が妙に恥ずかしかった。あたしもシャツとパンツ姿になると、一緒にお風呂まで入りあった仲なのに目茶苦茶恥ずかしくなった。
「えっとな…なんだったっけ?あ……そうだ、キス…」
「キス?」
 今なら解る。こいつはエロ本を思い出しながらしてたって事。まぁ、仕方ないんだけど。


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