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〈亡者達の誘う地〜刑事・銭森四姉妹〉
【鬼畜 官能小説】

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〈ホールドアップ!!〉-4

「……優愛を返しなさい……」


美しい女性は一種の冷たさを感じさせるものだが、拳銃を構えた景子の瞳は、それ自体が目に入る全てを凍てつかせる氷のようだ。


『……優愛?……ちょっと待ってくれ。俺はそんな娘は……』

「見え透いた嘘言わないで!!」


眉間に皺を寄せて睨む景子の全身から、圧倒的と呼べる気迫が発散していた。

これが妹を想う姉の“強さ”なのだ。

一歩として退くつもりは無く、歯向かう全てを打ち砕く事しか考えていない。
それが逮捕術に秀でた八代であってもだ。


『全く……思い込みが激しいよ。俺は麻里子さんや瑠璃子さんの失踪の手掛かりを捜してたんだ』


八代はどこまでも静かに、そして落ち着いていた。
向かい合う景子とは、完全に真逆な振る舞いだ。


「……さっき見たのよ?毛布でグルグル巻きにされた優愛をこの船に運ぶのをね!!そこに貴方が交じってたのもね!!!」


噛みつかんばかりの勢いで、景子は捲し立てた。
微動だにせず、のらりくらりとやり取りを繰り返す八代に、怒りは収まらない。


『毛布?……ああ、なんだ。此処に来たら船員が物を運び込んでいてな、それを確認したくて一緒に船に乗り込んだんだよ。確かに丸めた毛布を運んではいた。でも、中身なんて無かったんだよ。きっと、タラップを登る時、ブラブラ揺れて、“そう見えた”んだろうな』


感情の起伏もなく、淡々と八代は話す。
何処にも不審な所は無い。が、それが不自然な事だと景子は判っていた。


「いい加減にして!!もう貴方の正体はバレてるのよ?美津紀ちゃんや麻里子さんを拉致した犯人だってね!!!」


いくら景子が叫ぼうが、八代の表情は変わらない。
不気味なほど落ち着いたままで、じっと景子を見つめたままだ。


『……そんなに言うなら、自分の目で調べて確かめてきたらどうだ?……この船の中を…?』


八代は二歩ほど歩くと、タラップの入り口に招くように左腕を伸ばし、景子を見つめた。
それは余りにも危険な手招き……このタラップを上がったが最後、逃げ場を失った袋のネズミとなる……。



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