頭の中で鳴る警報-8
「あんっ……」
乳輪にそって長く伸びた爪でツツ、となぞると小さな声が漏れてきた。
普段のあたしのオナニーは只々絶頂を目指すためだけの、機械的なもので、あっさり淡白なものである。
でも、今日は違う。
陽介を想いながら、陽介に抱かれているつもりで、愛撫の仕方も陽介の真似をしながらじっくり身体を慰めてあげたかった。
焦らして、女の方から求めさせて、それができたらたっぷりご褒美をくれる、そんな抱き方で。
それを思い出しながら、あたしは懸命に指を滑らせていた。
「あっ……よ、陽介っ」
頭の中の陽介は、あたしの脚を開いた状態で押し付け、優しく指で膣の入口なぞるだけ。
もっと奥を突いて欲しいのに、クリトリスを撫でて欲しいのに、陽介はわざとそれをしないのだ。
腰をもぞもぞシーツの上で動かし、あたしは喘ぎながら訴えた。
「よ、陽介……、ああっ……あっ、や……」
脚の間からは、すでにクチュクチュと恥ずかしい音が鳴り響いている。
乳首を避けて胸を揉みほぐし、クリトリスに触れないでごく浅く秘貝の合わせ目をなぞる愛撫を繰り返しているうちに、涙がじんわり溢れてきた。
「やっ、陽介……」
――ちゃんと言わないとご褒美あげねえよ?
陽介はよくこう言って笑ってたっけ。
ちゃんと口に出すだけじゃない、しっかり陽介の目を見てどうしてほしいか言わないと、彼はずっとこのままなのだ。
自分でシてるくせに、痒いとこに届かないようなやり方で追いつめていくと、ますます気持ちは高揚する。
「ああっ……、陽介……もっと……中もかき混ぜて欲し……い」
――中だけでいいの?
陽介の幻は、そう言って中指を根本まで埋めるとわざと音を立てながら抜き挿しを繰り返してきた。
「ああん……ち、違っ……、乳……首……も……」
左手の親指で、小粒に尖った乳首をこねてみると、また脚の間からジュワリと愛液が溢れ出してくる。
「はああ……っ」
もうあたしは一人で自分を慰めているのではなく、陽介に抱かれていた。
「陽介ぇ……ク……リも触って……」
ちゃんとそこまで言えて初めて、陽介はご褒美をくれるのだ。