頭の中で鳴る警報-4
「……メグ?」
「あ……」
「どうしたんだ、ボーッとして」
陽介が彼女の顔を覗き込んでいた。
恐らく、あたしと陽介の関係が気になって、意識がそっちにいっちゃったみたいだ。
落ち着かない恵ちゃんと、なんで彼女が上の空なのかわかってない陽介を見て、あたしは思う。
女って生き物が勘が鋭すぎるのか、男が鈍感なだけなのか。
でも、陽介が気付いてないのなら、この状況はラッキーかもしれない。
ソワソワ目が泳ぐ恵ちゃんに、笑いそうになってしまう。
「あ、あの……お腹空いてて頭がまわらなかったの……」
「ついさっきラーメン食ったばかりだろうが」
呆れ顔の陽介の容赦ない突っ込みに、思わず噴き出してしまう。
……嘘下手すぎ。
みるみるうちに赤くなっていくその顔がなんだか間抜けだし。
さらには、あたしと陽介の関係が気になって仕方ないんだろうなっていう優越感が、あたしに冷静さをもたらしてくれた。
「まあまあ、女の子には別腹ってものがあるからね」
あたしがそう言うと、気まずそうに俯く恵ちゃん。
「なんだ、お前甘いもん食いたかったのかよ」
「うん……」
お腹をさすりながら頷く彼女が、ホントは甘いものなんて食べたくないのは、わかってる。
だって、頭の中はあたしに対して警戒しまくってんでしょ、元カノかなんかじゃないかって?
……陽介とは恋人じゃないけど、あたしは他の誰よりも陽介と深い仲なのよ。
そんな想いを抱きながら、不安を取り除きたくて陽介と繋いだ手を白くなるまで握り締めている恵ちゃんにニッコリ微笑んだ。
「陽介は甘いもの苦手だからねー。恵ちゃん、デートの時なんかは食事の趣味が合わなくて苦労してるんじゃない?」
きっと、あなたよりも、あたしの方が陽介にふさわしいの。
あなたなんかより、ずっとずっと陽介のことを知ってるの。