頭の中で鳴る警報-10
「あ、え、ちょっと、パンツは!?」
てっきり新しい下着を持ってきてくれたと思い込んでいたあたしは、予想もしないモノを見せられ、身体に巻いていたバスタオルを床に落としてしまった。
シャワーを浴びてから替えの下着を忘れたことに気付いて、部屋でテレビを観ていた陽介に「パンツ持ってきてー」なんて呑気に声を掛けたことを心から後悔した。
確か、引出しの奥に押し込んでいたのに……。
「いやね、俺が好きなあの下着あんじゃん? 横がヒモになっててやけにちっちゃい真っ白のヤツ。あれをつけて欲しくて探してたら、こんなん見つけてさ。もうパンツどころじゃなくなったんだ」
そう言ってニヤニヤ笑う陽介は、バイブのスイッチを入れると、それはウィンウィンとモーター音を出しながらうねうねと回りだした。
「ち、違う……、それは……」
実際使ったことないんだから、これを不覚にも所持することになってしまったいきさつを説明すれば、誤解は解けるってわかっていた。
でも、一番知られたくなかった人に知られてしまったことで、上手く二の句を繋げることができない。
ああ、もう死にたい。
狭いユニットバスで、素っ裸のままバイブを目の前に突き付けられるなんてなんと間抜けなんだろう。
恥ずかしくって両手で顔を覆い隠していると、突然ふわりと抱き締められる感触に包まれた。
「え!? な、何?」
「あー、ダメだ。さっきヤッたばかりだけど、くるみがこれ使ってオナニーしてんの想像したらまた興奮してきちゃった。なあ、これ使ってシてるとこ、見せて」
「や、だからそれは誤解……っ」
言い掛けるあたしに、陽介は深いキスを注いできた。
陽介は知っているのだ。自分のキスは相手を言いなりにさせる力を持っていることを。
裸のあたしを抱き締めながら、口の中で蠢く陽介の舌。
時折軽くあたしの舌を吸ったり、歯の裏や舌の付け根を優しくなぞられると、それだけで腰が抜けそうになる。
「ん……あ……」
口の中で鳴り響いている水音はそのままダイレクトに鼓膜を揺らし、シャワーで綺麗にしたばかりのヴァギナの奥から、また愛液が染み出してくるのがわかった。