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女子大生 成宮恵理
【女性向け 官能小説】

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女子大生 成宮恵理-34

「ねぇ奈々、何があったの?」


心配そうにそう声を掛ける恵理。

そこで少しずつ落ち着きを取り戻していた奈々がようやく、手で涙を拭いながら口を開いた。


「悠一郎が……悠一郎が……浮気してた。」


「えっ」


一瞬、恵理の息が止まる。

全身の毛穴が開いてドバァっと冷や汗が溢れてくるような感覚。

当然恵理の頭の中にはあの夜の事が思い出される。

悠一郎があの事を奈々に話してしまったのかと。

しかしよく考えてみれば、それならば奈々が今ここに来るはずがない。

手が震えるほど激しく動揺しながらも、続けて話す奈々の話に恵理は耳を傾けた。


「……最近全然会ってくれないし、連絡してもなかなか返信してくれないし変だなと思ってたの……それで今日どうしても会いたくなって悠一郎のバイト先の近くで待ってたの……そしたら悠一郎が女の子と仲良さそうに出てきて……私声掛けられなくて……悠一郎……その子と手繋いで歩いてたの……ぅぅ……。」


「……そんな……」


恵理は言葉を失った。悠一郎がまた別の子と浮気してたなんて。

本当は親友として奈々を慰めないといけない場面だけれど、それ以上に自分自身が混乱してしまう。


「……奈々……私……」


なんと声を掛ければいいのか。

そんな風に恵理が悩んでいると、奈々がポツリと呟いた。


「……別れたの……」


「えっ?」


「私我慢できなくて、さっき電話して問い詰めたら……別れようって……言われたの……」


そう力なく言うと、奈々は恵理の胸に抱き付いて再び大粒の涙を流し始めた。

それこそ子供のように声を上げての号泣だ。

奈々の涙で恵理が来ていた服が濡れていく。


「奈々……」


恵理はそっと奈々を抱きしめながら、自分自身も目に涙を溜めていた。


奈々が悠一郎に聞いた話によると、その女の子は悠一郎のアルバイト先の後輩で、最近入ってきた新人なのだそう。

最初、怒り口調で問い詰めた奈々に対して、悠一郎は申し訳なさそうに謝ってきた。

しかしその後悠一郎はあっさり別れの言葉を言ってきたという。

奈々としては本当はやり直したいという気持ちもあったのだが、最終的には浮気をしていた側の悠一郎にフラれてしまった。

だから奈々は悔しいわ悲しいわで涙が止まらないと。

普段どちらかと言えば気が強いタイプの奈々が、失恋に加えてこれだけプライドをズタズタにされれば、号泣してしまうのも仕方ない。

一方恵理にとってもそれはショックな事で、結局悠一郎という男はそういう人間だったのだという事実を受け止めざるを得なかった。

はじめから恋に落ちてはいけない相手だったんだ。私は遊ばれたんだと。


その夜、恵理と奈々はそのまま部屋で朝まで一緒に過ごした。

前半は2人で大泣き、後半は奈々が自分の部屋からお酒を持ってきてそれを2人で飲み明かした。

奈々は一緒に泣いてくれた恵理にありがとうと言いつつも、なんでそこまで恵理が泣いてるの?と少し笑いながら聞いてきたが、さすがにその場で本当の事は言えなかった。

泥酔した奈々は真夜中に大声で「悠一郎のバカヤロー!!」と叫んだり、やっぱり悲しすぎるとシクシク泣いたりして気持ちを乱高下させれていたけれど、翌日起きた頃には少しスッキリしたような表情を見せていた。

そんな奈々を見て、恵理も少し気持ちが軽くなったような気がしていた。

とても悲しいし自己嫌悪もするけれど、なんだか少し、どん底から救われたような、不思議な気分だった。

いつまでも引きずり続けていた恋心。

終わらせたくても終わらす事ができなくて、過ちも犯した。

でもこの日、恵理はその恋に終止符を打てたような気がしていたのだ。


悠一郎という男に向けて、心の中でさようなら≠ニ。


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