あたしの想い人-3
あたしはそんな彼を横目に、今度は枕元に置いていた自分の煙草を取り出すと、それに火を点けた。
細長いメンソールの煙草の煙がスッと喉を通る感覚が妙に心地よい。
一気に吸い込んだ煙に少しクラクラしながら、あたしはテレビを点けた。
チャンネルをザッピングしていくと、家では決して観ることのできないイヤらしい番組が目に飛び込んでくる。
童顔で可愛い女の子が一人で道具を使って自分を慰めていたり、別のチャンネルではお堅いキャリアウーマン風の女の人が複数の男の人に上から下から攻められ喘いでいたり。
番組表を見ればよくもまあこんなにネタがあるもんだって感心するほど過激なタイトルが並んでいる。
あたしが初めてそういうイヤらしい映像を見たのは確か高校二年生の時、当時付き合っていた彼氏の家でだった。
彼氏の部屋に堂々と置いてあったDVDを観てみる流れになったのは、よく覚えていない。
でもいつの間にか鑑賞会になっていたのは、きっと彼氏の作戦だったのかもしれない。
あたしもあたしで、興味がないわけじゃなかったから、“観てみる?”と言った彼氏の言葉に何の気なしに頷いてしまった。
今思えば、あのDVDは結構生ぬるい方だったと思う。
恋人同士という設定の二人が、ノーマルに愛し合うだけのものだったから。
ただ女の子は、彼氏の当時好きだったアイドルに似ていたのが印象的だった。
今でこそ生ぬるいと思うけど、当時のあたしには結構衝撃的で、目が点になりながらもその映像に釘付けになったもんだった。