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もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

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あたしの想い人-2

あたしは、彼に言われるままにキングサイズのベッドから降りると、素っ裸のままソファーに向かって歩いて行った。


そして、ポットであらかじめ作っておいたお湯を使い、ドリップ式のコーヒーをマグカップにセットし、少しずつお湯を注いだ。


手際よくこうしてすぐにコーヒーを淹れてあげられるのは、アレが終わった後で、塁が必ずコーヒーを飲むのを知っていたからだ。


彼はテキパキと動くあたしを見て、クククと笑いを漏らす。


「……何がおかしいの?」


「いや、手慣れたもんだなと思ってさ。

裸でウロウロしてても羞恥心すらねえようだし」


「今更恥ずかしいなんて気持ちあるわけないでしょ、どうせ隅々まで見られてるのに」


今更この男は何を言うんだろうと、半ば呆れながら塁にコーヒーを渡し、あたしは彼の隣に座った。


そして、灰皿に置かれたままの塁が吸ってた煙草を口に含む。


自分の吸ってる銘柄とは味が違うから、思わず顔をしかめた。


「だよな。あの最中も自分から腰浮かせてああしてこうしてうるせえし。

ああ、以前の恥ずかしがり屋で、電気を点けただけで大騒ぎする純粋な玲香ちゃんはどこへ行ったのやら」


「誰があたしをこうしたのよ」


「あ、オレか」


塁は、笑いながらマグカップに息をふうふう吹きかけ、口をつけた。




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