真紅の螺旋『弦音誘惑』-6
「愛加も遊ぼうよ」
絢と子供達の無邪気な視線を浴びる。
「遠慮するわ」
愛加は普段のように素っ気なく返事をする。
これがいけなかった。
「う……うっ……うわあああぁぁぁん」
愛加の言葉、または愛加自身に恐怖を感じたのか何人かの子供が泣き出した。
泣き顔は子供達の間で次々と感染し、愛加は泣きじゃくる子供達に囲まれる形となる。
「愛加」
「何」
さらに泣き声が大きくなる。
「子供を泣かしちゃいけないよ」
「わかってるわよ」
益々大きくなる泣き声をBGMに、異能の力を持つ少女は大きな溜め息をついた。
─提琴の奏でる美しい旋律。それは聞いた者を闇へと誘う悪魔の囁き。『弦音誘惑』<了>─