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10年目の恋
【ファンタジー 官能小説】

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月夜の恋-2


無理やり連れてこられたのは
都内でも一流ホテルのセミスィートだった。
なんで?なんで?

すご〜い!夜景がきれい〜。わぁ〜贅沢ぅ〜。

「で?」
「犬とちゅーしたってなんだよ」
「犬だよ。犬。徹が心配するようなことじゃないって」
「・・・・」
「何?犬にヤキモチ妬いちゃった?」

あっはっはっはと
笑い出すあたしに乗ってこない。
とおる?

「ヤキモチ妬いちゃおかしいかよ?」
はぁ?犬に?
いや本当は人間だけどさ。
いやその前に10年前の徹とだけどね?

「くそ。こんなつもりじゃなかったのに」
ん?

徹は成田からそのまま来たらしい。
キャリーケースをガサゴソと探り出し
あった。と小さな袋をあたしの目の前に差し出した。

これ・・・・
この包装紙・・・・

「モニッケンダム?」

徹はニヤッと笑った。

「なんで疑問形なんだよ。正真正銘のモニッケンダムだよ」
なんで?なんで?

あたしは震える指先で包をあけた。

かなり前。翻訳の仕事の映画の中で
主人公が彼氏にモニッケンダムの婚約指輪をもらっていた。

翻訳するときに背景を知りたくて
モニッケンダムを調べた。

イギリスの有名なジュエリーショップでその製品の質の高さが売りだった。

あたしはなんの気なしに「いいな」と
徹に言ったんだっけ・・・・





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