運転上手のお転婆娘-4
誕生日バーティーは、賑やかでとても楽しいものになった。
祖母は久しぶりにエメリナに会えたと大喜びし、王都で買った髪飾りのプレゼントも気に入ってもらえた。
エルフの親戚とも、互いの近況で盛り上がった。
そして翌日の夕方、王都に戻るエメリナを、駅まで両親は車で送ってくれた。
ロータリーで車を降りて、そこで別れるつもりだったのに、母はホームまで送ると聞かない。
父を車に残し、二人でたわいない会話をしながら列車を待つ。
やがて列車に乗り込んだエメリナに、母はホームから窓越しに話しかけた。
「エメリナ。あなた、王都の暮らしに満足してるのね?」
「え?……うん。ここが嫌いってわけじゃないけど……」
最後の言い訳は、小さな声になってしまった。
まるで育ったら用済みと親を捨てたようで、少しばかり後ろめたい気分になる。
「そう……なら、いいわ」
母が諦めたように溜め息をついた。
「そのうちギルベルト先生を連れて、また遊びにいらっしゃい。客間は掃除しておくから」
「ええっ!?なんで!!」
思いもよらぬ言葉に耳を疑うと、少女の外見をした母は、フフンと笑って見せた。
「あなたの話を聞いてれば、恋してるって、すぐわかるわよ」
「あ、あの……それは……」
「エメリナに男を見る目があるか、お母さん楽しみだわー♪」
発射合図の笛が鳴り、車体から離れた母が満面の笑みで手を振る。
エメリナは真っ赤になった顔を他の客に見られないよう、スーツケースへ突っ伏した。
「はぁ……お母さんはこれだから……」
困った恥ずかしい親と思うが、エメリナを本当に案じてくれているのは確かなのだ。
(……今度こそ、見る目あったに決まってるじゃない)
フン、と心の中で胸を張った。
故郷も良いが、明日はギルベルトに会えると思うと、やはり嬉しい。