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10年目の恋
【ファンタジー 官能小説】

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月夜の雫-4


翌朝起きたとき、まだ徹のフライトに間に合うかな。と思ったけど
いってらっしゃいメールは何故か躊躇して、
そうこうしているうちに出社時間になった。

ポチは寝てるけど・・・
ほっといていいのかな。

あ・・・・学生は夏休み中か。
学生を卒業して久しいあたしは7月の後半が夏休みだって事実にすら
一瞬で思い出せなくて。
徹との1番楽しかったあの時も昔のような気がする。

あたしは一応ね。と通帳とハンコだけバッグに入れた。
ポチを疑ってるわけじゃないけど
薄給のあたしは、万が一これがなくなったら明日から生活できない。

「鍵はポストに入れておいて」と書き置きと共に
鍵をテーブルにおいた。

就業中は携帯が見れない状況で
昼休みに見たら「行ってくる」ただそれだけのメールを受信していた。

「そっけないメール」

徹のメールがそっけないのか
メールすら送らなかったあたしがそっけないのか
どっちもどっちのような気がする。

やっぱり残業になった夜道を歩いて家に帰ると
電気が付いているのが見えた。

まさか。ポチがいるんじゃ・・・?

変な期待とともにドアを開けると
いい匂いが漂ってきた。

「お帰り」

台所からエプロン姿のポチが顔を覗かせた。





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