投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

異種間交際フィロソフィア
【ファンタジー 官能小説】

異種間交際フィロソフィアの最初へ 異種間交際フィロソフィア 17 異種間交際フィロソフィア 19 異種間交際フィロソフィアの最後へ

満身創痍の初デート -5


 ***

 ――会場には女性も多かったが、大会参加者の八割は男性だった。
 Eブロックに配置された青年は、ようやく順番を迎え台に座る。対戦台の向こうから、ひょいと輝く亜麻色の髪が突き出た。

「あ?」

 顔を覗かせたのは、ハーフエルフの少女だった。エルフ族特有の美しいオーラは感じないが、くりんと丸い瞳や桜色の頬が、なんともいえず愛くるしい。

「宜しくお願いします」

 ハーフエルフの少女は、にっこりと挨拶した。

「え?ああ……お願いします」

 ぼそぼそと青年は返事をし、顔を引っ込めた。

(多分あれ、ノリで参加したタイプだな。ちょっと遊んでやるか)

 キャラクター選択画面で、逞しい黒豹の青年を選ぶ。
 現実のスポーツはからきしだが、このゲームで黒豹青年を使えば負けた事は無い。行き着けのゲーセンでは、ちょっとした有名人だ。
 一方、ハーフエルフの少女は、可愛らしいキツネ少年を選んだ。

(あー、やっぱなぁ……)

 これを選ぶ時点で終わってる。
 強烈な必殺技はあるが、複雑な入力が多すぎるし、パワーバランスも悪く使いづらい。このゲームに慣れていれば、まず選ばないキャラだ。
 左手をスティックに添え、右手を六つのボタン上へ置いた。
 ゲーム画面の中、赤い荒野を舞台に二匹の獣人が向かい合う。
 予選は人数が多いので、1ポイント先取した者の勝ちだ。
『go!』の表示と共に、青年は素早く両手を動かした……。

「―――すげぇ!!なんだよあのキツネ使い!!」

 数十分後、Eブロック参加者たちの目は、最終試合へ釘付けされていた。
 ハーフエルフの少女は、楽しそうに微笑みながら、両手を猛烈なスピードで動かし続ける。
 的確にコンボを決め、相手を宙に投げ飛ばし、ガードされる直前コンマ一秒に必殺技を叩き込む。
 まるで精密機械のように、無駄な動きが一切ない。
 使い辛いと酷評されていたキャラクターの真価を、彼女は信じがたい指さばきで、最大限に開花させていた。

 相当の集中力が必要なはずなのに、少女は実に楽しげである。リボンカチューシャで飾った亜麻色の髪が、時々フワリと風になびく。
 勝敗がつき、キツネ少年の上へ『win』の文字が出る。

「ありがとうございました」

 ペコリと対戦者にお辞儀した少女へ、周囲から割れんばかりの拍手が贈られた。
 負けた相手でさえ、額に汗を浮かべつつも、拍手を贈る。
 それほどまでに美しく、賞賛に値する戦いだった。

 狼執事のコスプレをした係員が、マイクで高らかに宣言した。

「Eブロック、本選出場が決定いたしました!!おめでとうございます!エメリナさん!!」



異種間交際フィロソフィアの最初へ 異種間交際フィロソフィア 17 異種間交際フィロソフィア 19 異種間交際フィロソフィアの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前