Purple memory-7
島島島島島島島島島島島
―――3年前
―――ビサイド島繁華街のバー
「ふぅぅ・・・結構飲んじゃったわね。ジェクトさんったら見掛け通り相当酒に強いわね」
「ルールーこそワッカと同年代とは思えんな。今夜に限ってチームの男どもが貧弱に見えたな」
「お誉めの言葉と受け取っておくわ・・・・」
「はいはい・・・おい、タクシーが来たぞ。早く乗れ、最後まで付き添ってやるから」
ほろ酔い加減で頬を赤らめつつ、無意識なのか流し目で見上げてくるルールーから意識的に顔を背けつつ、
呼んであったタクシーの後部座席に半ば強引にルールーの身体を押し込むと、
続いてジェクトも隣に乗り込み、運転手に事前に聞いてあったルールーのアパートの住所を教えた。
タクシーが静かに店の前を離れる。
既に辺りには漆黒の闇の帳が下りており、
車内も真っ暗の状態である。
ただ道路脇の街灯がタクシーの傍らを通り抜ける度に、
後部座席に座るジェクトとその左肩に頭を乗せる形で寄り添っているルールーの姿を瞬間的に照らし出した。
――――この日はビサイド島で合宿中のプリッツチームがルールーと数名の彼女の女友達交えて島の酒場に繰り出して一席設けたのだ(俗に言う“合コン”といったところか)。
ところがわいわいとした雰囲気の中で杯を重ねるうちに、酒の弱い面々が次々にダウンして席を離れていく。
その中には、がっしりとした体格からは想像できない“下戸”ぶりを見せるワッカも含まれており、
同じく酔いが回った仲間に肩を借りて席を離れるはめになった。
そして最終的に席に残ったのが彼氏に置いていかれた形のルールーとジェクトの2人だけという結果になり、
そのまま2人でタクシーに乗り合わせすることになったわけである―――――