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果葬 ―かそう―
【その他 官能小説】

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―13―-4

 終わりの見えない生々しい光景にうんざりしていた時、またもや別の映像が割り込み、そこにもやはり女性が映っていた。

 透過素材でできた大きなバスタブの中に、全裸の女性が体を浸しているシーンだった。
 白い肢体が水面を揺らし、水滴がきらきらと光っている。

 水中を泳ぐ細長い影は、彼女の手足の隙間を縫いながらぐにゃぐにゃと回遊していた。
 その動きに合わせて悶絶する彼女が手にした物は、長さ10センチほどのビニールチューブだ。
 放心寸前のおぼつかない手つきで、彼女はそれを自分の性器に挿入した。

 膣がだらしなく大口を開けている様子がズームアップされる。誰かがカメラを操作しているのだ。
 そして若い女性の体内の構造が露わになっているビジュアルは、神秘的な輝きすら放っている。

 彼女のそこが巣穴に見えたのか、うごめく影のうちの一匹が、黒い胴体を波打たせながらビニールチューブをくぐった。

 尾ひれがぴちぴちともがき暴れている。
 彼女の視線はどこに落ち着くわけでもなく、溶かされていく意識にまかせて、うっとりと水中を漂っているようだった。

 もうどうなったって構わないとあきらめている女の顔である。

 黒い生物の習性に逆らうこともできずに、膣を開放しつづける淫乱な女体。
 彼女もまた、これまでに経験したことのない危ないアクメへと連れて行かれるのだろう。

 女性器に群がっている影の正体がウナギだとわかったところで、刑事の一人が吐き気をもよおして退室するハプニングがあった。

 そうは言ってもこれも仕事のうちだと、残りの者で映像の結末を見届けなければならない。
 胃液が込み上げてくるのをなんとか抑えながら、映像が切り替わるのを待つ。

 その瞬間はすぐに来た。

 そうして画面におさまった人物の顔を見るなり、今まで無関心を装っていた北条の眉間に深い皺が刻まれた。
 神楽町通り魔事件の重要参考人、月島才子に間違いなかったからだ。

 しっかり見ていろ──わかってます──という会話が、北条と五十嵐の視線だけで交わされた。
 沢田透がほんとうに見せたかったものが、まさにここからはじまるのだと、彼女の放つダークな雰囲気から予期できた。

 そしてなにより、今までの映像と異なったところがある。
 さっきまでの分が監視カメラの記録だとすれば、月島才子の場合は、盗撮カメラで狙ったような意図が感じられる。

 どこかの病院の診察室に彼女はいるようだ。
 スチール製の机やキャビネットに並ぶファイル類、業務用のパソコン、ベッドや椅子なども一通りそろっている。

 仄白い照明でぼかした室内。月島才子はそわそわしながら誰かを待っているようだ。

 そうして1分と経たないうちに白衣の男がやって来て、すれ違いざまに彼女の肩をぽんとたたくと、空いた椅子に座る。


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