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執念深い指使いが、体中を這いずりまわる舌の動きが、凶暴な男性器から注がれる白い欲望が、香澄のイメージ通りに快感を浴びせてくる。
強姦された暗い過去は封印したはずなのに、妄想の中の自分は、その禁断の味に悦びを感じているのだ。
憎たらしい男を受け入れることで、女の部分を満たし喘いでいる。
狂っている──香澄はそう自嘲した。
家の外へ出れば貞淑な良妻の顔を通しているけれど、こんなふうに人目を遮断してしまえば、あとはもう行き着くところまでどこまでも堕落していくのだ。
気づけば三本もの指が膣を出入りしていた。
動きは大人しめでありながら、得られる快感は果てしなく、病的なまでに身を滅ぼしていく。
気持ちよすぎて、しんでしまいそう──。
香澄は体を起こした。そして膣から指を引き抜いて、白濁の糸を引いた蜜を口に含み、味わうようにしゃぶる。そこでも糸が垂れた。
体の芯が物足りなさで疼いている。
火照りの冷めないうちにその足で玄関へ向かい、棚に飾られた民芸品を物色した。
ふとして靴脱ぎの先へ目をやると、そこには紳士用の履き物があった。夫である孝生のものだ。
その靴を履いてこちらを振り返る孝生の姿が目に浮かぶが、香澄はすぐにその光景を払拭して、民芸品の一つを手に取った。
自慰のつづきを、これに頼るつもりなのだ。
香澄はしばらく手の中で、そのこけしを可愛がるように扱った。
それに飽きると今度は玄関ドアを正面にして立ち、片足を壁にかけて、片手で反対側の壁を支えにいく。
利き手にはこけしが握られている。
昼下がりに乱れ散る哀れな未亡人のことをのぞき見る者はいない。
それでもドアの向こうに人の気配を期待しながら、香澄はこけしを握りなおし、ととのわない呼吸に肩で息をする。
入れるタイミングは、ここ──そう思った瞬間、香澄のおもちゃは鈍い音をたてて、膣の深くにまで埋没した。
はあああ、と長い吐息で緊張を抜く。
そうしてこけしを握った手をひくひくと揺すれば、きわまった快感が膣と脳とをつないで痺れさせた。
爪先にまで力が込もっているせいで、かすかに指先が白い。
知らず知らず込み上げてくる声は、いやらしいピンク色に染まって耳に届く。
湿る肌、猥褻な唇、揺さぶられる乳房、あらゆる部位が無防備に露出している。
もしもこの姿が人目に触れたなら、自分はあっという間に絶頂へ達してしまうだろうと香澄は思った。
いくう……いくう……、あああいくう──。
骨盤が小刻みに震えて、挿入をくり返す姫穴から吐き出されたものが、板張りの床に液だまりをつくっていく。
つつつと滴ったり、ぽたぽたと撒き散らしたり、行儀の悪い女を演じているのだ。
意識の糸が切れるまで、膣の口径を広げながらいじくり尽くしていく。
やめてください……、私には主人が……、ああ、もうだめになりそう……、何も言えなくなってしまう……、どうか許して……、だめ、だめ、あああ、いい、いく、いく──。
下腹部がよじれて、胸はきゅんとくすぐったい。
そうして香澄はその場にくずれ落ち、巾着を絞るように局部を痙攣させていた。