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『嘘』
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『嘘』-2

そして俺の身体が地面に落ちた瞬間、音が聞こえてきた
「茂樹さん、茂樹さん!」俺に走り寄り泣き叫ぶ咲耶の声と周囲からの
『事故だ!救急車を…』
『わ〜ん、痛い…』
『子供は無事…』
『青年は…』
『救…車…』
 次第に音も聞こえなくなり、視界が暗くなって…

「…さん、」
声?
「…きさん」
眩しいな
「…げきさん」
ここは?俺はどうしたんだ?
「茂樹さん」
咲…耶?
 微かに身体が光り背中からは白い翼が…。
「咲…耶なのか?」
「そうですよ」
ニコッと微笑む彼女の姿は、まさに天使だった。
「俺は…確か車に撥ねられて…死んだのか?」
「いいえ。貴方は死にません。」
そう言いながら微笑む咲耶の顔がとても哀しい表情に見えた。次の瞬間パーッと周囲が光に満ちて何も見えなくなる。

「咲耶!」
手を天井に向けて伸ばしていた。
…痛っ!
全身が酷く痛い。
見知らぬ天井に腕に点滴。どうやら俺は病院のベットに寝てるらしい。
「今井さ〜ん身体拭きましょう…ね」
中に入ってきた看護士が俺を見て慌てて医者を呼びにいく
「せ、先生〜!今井さんが目を覚ましました〜」
 後から医者に聞くと生きてるのが奇跡だと言われた。それだけ酷い状態だったらしい、が多少リハビリが必要だが後遺症も心配しなくて良いとの事だった。
 そういえば咲耶は?
「先生、一緒にいた女性は知りませんか?」
「ご家族ですか?なら毎日見舞いにこられてますよ」「そうじゃなく…いえ、何でもないです。」
それから三ヵ月後、俺は退院した。その間も咲耶は現れなかった。
 帰ったのか?それとも夢だったのか?
 退院してから最初の土曜日にあの公園のベンチに座り煙草を吸いながら咲耶の事を考える。
 …そういえば
『人の生死に関わる程のチカラを使ったらどうなるんだ?』
『大きな力に身体が耐えれなくて消えるんだって』
…まさか!?あの眩しい光の中の光景は夢じゃなくて…俺を助ける為に
「咲…耶」
呟きながら俺は人目も憚らずに泣いていた。

 季節が巡り、また春になった。俺は休日には相も変わらず公園のベンチに座り煙草を吸っている。
 今日は少し肌寒い。去年、咲耶と出会った日に似ている。
「すいませ〜ん」
そうそう、こんな感じで
「あなたの望みを叶えます♪」
ん!?
ガバっと視線をあげる。そこには…
「咲耶!」
そのまま抱きしめる。
咲耶は少し驚いたようだがすぐに抱き返して
「望みは決まりました?」「ああ。もう半分叶ってるけど」
「クスッ。じゃあ後の半分は何ですか?」
そのまま俺達はキスをして「ずっと一緒に居てくれ」「はい。」



End


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