コックリング-4
3
ホテルに入ると冴子は俊介にむしゃぶりついた。まだシャワーを浴びる前だというのに俊介の首に手を回して、鼻息も荒く舌を口腔に差し入れて口の中に探し物でもしているように舐め回している。
薄暗いホテルの部屋に、口に挿し込まれた軟体生物の蠢きと息遣いの音が混ざり合って聞こえている。
俊介も冴子を抱きしめたまま舌を絡ませて応じていた。だが頭の中では、上司の女を会社では指図を受ける立場ながら、プラベートでは言いなりにして性的奴隷にする構図を描いていた。その公私の逆転したギャップがより大きな興奮を呼び起こすことに狂喜していた。
冴子の手が俊介の盛り上がった股間を撫ぜ回している。ズボンの上からでも形が分かるほど十分に漲り返っている。反り返っている逞しいペニスを確認して擦り上げて歓喜の声をもらした。
「すごい! 俊介君硬いわ。私のこと満足させてくれそうだわ」
俊介は何も言わずにひたすら舌使いで応えていた。だが心の中ではニンマリと笑っていた。
(ふん、皆の前で恥をかかされたぶん、いっぱいお返ししてやるからな)
俊介の手が冴子の臀部を摩り、徐々に遡上してゆく。背中から肩甲骨のあたりを撫ぜ、首筋をくすぐる。そのまま前にまわった手が乳房のふもとに当てられた時に冴子がその手を阻んだ。
「先にシャワー浴びてきて」
(おっと。またお預けか。まぁいいや、ベッドでいっぱい啼かせてやる)
ここは素直な年下の部下に甘んじて、ベッドでイヤと言う程、逝かせて徹底的に女であることを認識させてやるほうがおもしろそうだ。
「はぁ〜い、片桐部長」
わざと俊介はおどけた調子で肩書きを強調してシャワーへとむかった。
俊介が出てくると、入れ違いで冴子がバスルームに入った。
シャワーを終えて出てくるとバスタオルを巻いた姿で、ベッドに寝そべっている俊介に歩み寄った。
髪留めでアップにした姿は、普段見たことがない首筋が露わになり歳がずっと若くみえた。産毛がはえた細い首筋は幼ささえ感じさせ、メリハリのある身体とはアンバランスな色気が生じていた。この身体を今から抱くのかと思うだけで血流が狩人の槍を益々鋭く尖らせていった。
胸の前で留められたバスタオルの折り込みを手で押えてベッドの脇に立って冴子は言った。
「俊介君、ここに立って」
ベッドを背にして、冴子の前に立った俊介は身体を抱きしめて首筋に舌を這わし始めた。ジッとその愛撫に身を任せていた冴子が身体を覆っていたバスタオルを脱ぎ捨てた。俊介の目に、壁にはめ込まれた鏡に写る冴子のハートを逆さまにしたような見事なヒップがとびこんできた。スポーツジムでヒップアップされた臀部に、俊介は思い描いていた以上の肉体にありつけることに、既に反り返った牡の槍が雄叫びをあげている。
俊介の手が臀部にまわり、さかんに撫で揉み上げていることに冴子は十分に見せつけた成果があったことを確信した。バスタオルを突き上げている若い牡の尖がりに手を伸ばし、その逞しさを撫でてやる。根元から先端部にスライドさせながら、指の腹で尿道口をさぐると冴子を欲しがって涎があふれ出していた。先走り汁を亀頭部に塗り付けるように親指で摩ってやると、集中してくる血流でガス抜きするようにピクピクとペニスが脈をうっている。
俊介は今まで多くの女性と関係をもったが、年上の女性と関係したことはなかった。いつもリードするのは自分であって、こんなに大胆に相手から身体をまさぐられるようなことは経験したことはない。大人の女が劣情をストレートに顕わして自分の性器を欲情の対象にして弄でいることに、いつも以上に興奮して、いつまでもそうされたいと思った。
トクトクとでてくる透明な液を押し広げながら強く握った手でローションを塗りつけるようにピストンしてやると俊介の口からうめきがもれだした。
「冴子さん、あまり激しくしないでください。お、俺、逝っちゃいそうです」
「そんな情けないことで私を満足させることができると思っているの。まだ何もしてもらっていないのに自分だけ先に逝くなんてゆるさないわよ」
そう言いながらも絞り出すような手の動きを止めようとしなかった。
「あっ、ホントにだめです! で、出ちゃいそうですっ!」
「しょうがないわね!」
冴子は俊介のペニスの根元を人差し指と親指で締め付け残りの指で陰嚢を思いっきり握った。
「クッ!」
呻いて天を向いて耐える俊介に叫んだ。
「我慢して! 出ないように手伝ってあげる」
「ぐうぅっ!」
冴子に言われた言葉に素直に従って、握り拳を握りしめ腿を突っ張らせて必死に射精を耐えている俊介を見ていると、もっといたぶりたい気持ちになってくる。
「あああっ……ほんのちょっとだけど出ちゃいました……」
小便を漏らしてしまった子供のように下を向いた俊介が呟くように言った。冴子はしゃがんで腰に巻かれていたバスタオルを剥ぎ取り、フルフルと揺れているペニスから少しだけ漏れ出てしまった精液を確認した。幼少の男の子の放尿を手伝う母親のように下から俊介を見上げて微笑んだ。
「あら、ホント。少し出ているわ。ちょっと、小さくなっちゃったわね。もう一度大きくしてあげるわ」
目の前のシンナリしたペニスに我慢汁と迸った少量のスペルマを塗りつけながら再びしごき始めた。先端の鈴口から裏の筋を指先でなぞりながらしごき上げて、時々もう一方の指で付け根から陰嚢までを往復させてゆく。少し足を開かせながらアヌスをさぐってやると俊介が小さな悲鳴をあげた。
セックスに関してそれほどのめり込んでいなかった冴子だが、年下の男性を自由に扱える状況に、今までやったこともないテクニックを駆使していた。射精を我慢させてコントロールしていることに嗜虐的な悦びを感じているのだった。