第一章 ポンプ-21
まごついている冴子をよそに、ヒンヤリと湿りを帯びたバギナに小宮山の指が添えられ、愛おしいものに触れるように優しくなぞり始めた。ソヨソヨと下からなぞり上げる動きに冴子は手で口を固く塞いだ。
立てられた指先が柔肉の溝を掘り当て往復しながら陰核をつきとめる。冴子の意思とは逆に更なる刺激を求めて敏感なボタンが突き出している。刺激のボタンが小宮山の指で押され続けて冴子の身体が揺れ続け、抗いよりも防戦一方になった冴子を確認した小宮山が、蜜で濡れた指をかざして見せつけた。
恥辱で泣きべそをかいた少女のような顔になった冴子を見ながら、小宮山は、その蜜で光る指の匂いを嗅いでみせた。横を向いてその醜悪な姿から目を逸らそうとする顔を左手で向き直させて、その指をペロペロと舐めて見せニンマリと笑う。その顔は冴子のここ数日の困惑を見破っているような嗤い顔だった。
立ち上がった小宮山が冴子と身体を入れ替え、肩を押えて便座に座らせた。脂肪太りの太い首からネクタイをほどいて冴子に覆いかぶさるようにして手を後ろ手に縛り付ける。冴子は大きな腹に上から圧し掛かられ前かがみのまま小宮山の汗臭い匂いを嗅いでいた。
化粧直しの女性社員が立ち去る気配がするのと同時に小宮山が縛り終えた冴子を起こした。屈みこんだ小宮山の細い目が、屈辱にうちひしがれた冴子を真正面から見据えている。便座に座った冴子の股間に手を伸ばしてバギナを指で広げるようにして、便座の横にあるウォシュレットのビデのボタンとマッサージのボタンを押した。
「うぐっ! ぬううううううううっ!」
広げられたバギナに細い温水の糸がジグザグしながら当てられると、乳首責めで反応した剥き出しの陰核に容赦のない水滴の連打が浴びせられる。
「うぐむむむうううっ!」
声にならない呻きをもらしつつも、堪えようと歪む顔を小宮山が陰湿な嗤いをうかべた顔で見ている。小宮山が陰唇から手を離しても膨らんだ陰核はもう温水の恩恵を受けようと顔を突きだしたままの状態になってしまっていた。
ズボンのベルトをはずし、突っ張ったトランクスを降ろすと先走り汁を滴らせたペニスが弾み出てきた。テラテラと光ったペニスの先とトランクスが透明な糸で繋がった。何をされるのか分かった冴子は口を固く結んだまま激しくかぶりを振った。
「僕は誰かに見つかってもいいと思っているんだ。だって結婚前提に冴子を躾けているんだから」
根本から歯車が狂っている小宮山をこの場から追いやるためには、精を放出させて落ち着かせるしか方法しかないだろう。冴子は一番嫌いなフェラチオで小宮山を慰めるしかない状況に絶望的な心境だった。
「ほら、早くしろ、牝犬めが」
「す、するから黙って……」
押し殺した声を震わせながら冴子は自身もウォシュレット責めで間欠的に身体を震わせながら目を瞑って唇をかぶせた。ヌルヌルの先端部から全体を呑み込み、心を無にして作業に集中しようと努め機械的に頭を上下するが、温水の責めに身体が震える。
その時小宮山が冴子の髪の毛を掴んでペニスに押し付けて言った。
「いいか冴子、ご主人様のエキスを全部飲み干せよ」
「んぐぐぐぐぐっ!」
元夫にもしたことのない精液溜飲行為を小宮山に強制させられる恥辱と、バギナを往復し続ける温水の噴出の淫楽が混ざり合いで精神が崩壊しかけていた。両手を後ろ手にされ、髪の毛を掴まれての口腔奉仕。そして咥内に放たれる精液の強制溜飲……。
もし口腔に受けた体液を吐き捨てようものなら何をしでかすか解らない男だ。全ての逃げ道を断たれて小宮山の性奴と扱われていることに、冴子は異常なまでに性的興奮にみまわれた。それが精神的崩壊からの逃亡手段として脳が働いた救済処置なのかはわからないが、卑下している小宮山の性的暴行に悦びを感じている冴子の姿があった。
「んぐんぐんぐう……」
熱心に顔を振り立てる冴子の口元から粘着質な音がしている。先程までの化粧直しの女達の声もなくなり、静寂の内に淫靡な音がやけに大きく聞こえている。その音にすら冴子は興奮してしまう。口に咥えている小宮山のペニスすら愛おしく思えてきていた。
「――んぐんぐ……」
上から見下ろす冴子は目を瞑ったまま口に咥えた陰茎を貪っているように見える。普段男勝りにテキパキと動き回る制服姿のままの冴子が自分のペニスに唇をまとわりつかせて吸引している姿に小宮山はたちまち欲情の体液で充満していった。
「いいぞぉ冴子! 出すぞ!」
一段と強く髪の毛を掴まれ腹で顔を2,3度叩かれた後、口腔内に生暖かい精液が放出された。ペニスと精液でいっぱいなった口内から体液だけをゆっくりと溜飲していった。性奴として扱われる牝犬は、主の排泄した体液すら受け止めなければならないのかと、冴子は頭の片隅でそんなことを思っていた。
ペニスを引き抜いた小宮山は冴子の顔を上向きにして頬を強く掴んで口を開けさせ確認した。
「ご主人様のペニスを綺麗に舐め取れ」
しんなりしたペニスを再び咥えされた冴子は言われるままに付着した精液を舐め取る作業に専念した。
全ての作業を見届けた小宮山は満足げにズボンを引き上げて、冴子の縛めを解いて個室から外を窺がい誰も居ないことを確認してから立ち去って行った。