第一章 ポンプ-19
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翌朝、冴子は憂うつで重い身体を引きずって何とか出社にこぎつけた。
小宮山にあった時にどんな態度で接していいものか……。
体調を気遣う同僚社員にまでドギマギしながら、ぎこちない挨拶をかわさなければならなかった。
午前中は昨日休んだ分の残務整理に取り掛かるも、気持ちがそぞろのまま過ぎてゆく。小宮山があらわれることはなく、少し気が楽になった。だが、小宮山を確認するまではどうしても落ち着きそうにない。冴子は小宮山がよく一人で作業している部屋を覗きに行くことにした。
足音をしのばしてそっと部屋を覗くと小宮山は静かに何かを組み立てていた。冴子はそれを見て少し安心して午後の仕事に取り掛かることができた。
昨日の休みのロスを取り返すために冴子は一人残って顧客の訪問予定を作成していた。冴子のいるフロアーに残っている人間は誰もいない。夜9時を回ったところで帰宅の準備に取り掛かろうとしていた。
強い衝撃をいきなり背後から受け、冴子は何が起こったのか分からず机に押さえつけられるような恰好になっていた。
「冴子、躾けが待っているぞ。俺の家に一緒に帰るぞ」
背後にいるのは小宮山に間違いない。大きな腹で背後からのしかかるようにして冴子を机に押し付けている。小宮山は机のヘリに手を延ばしてがっちりつかんで冴子を完全に身体の下に抑え込んでしまった。冴子は机の冷たい面と小宮山の膨らみきった腹に挟まれていた。
「ぐふふふっ。僕のペニスで逝きまくらせてやるぞ。いっぱい啼かせてやる」
ピストンするように腹でグリグリ押し付けながら冴子に乗り上げてくる。
「うううっ……。重い……」
苦しさから横を向いた冴子の耳の中に舌を突っ込んで舐めまわし始めた。クチャクチャとした大きな粘着質な音でいっぱいになる。
「お願い、今晩は勘弁して、勘弁してください……。身体が壊れてしまいます。体調を……、万全に整えてからお伺いしますから……うううっ……」
「いつ来るのかなぁ? あん?」
「近いうち、近いうち必ず……」
「よし分かった。かならず来いよ」
背中から重しが退いて机から解放されてもしばらくは動けずにいた。ようやく上半身を持ち上げて、後ろを振り向くと小宮山すでに通路を引き返してゆくところだった。
急に襲われた恐怖が去ると、安堵の気持ちと共に今しがた小宮山に押さえつけられた感覚から、一昨日ののしかかられたまま逝きまくった自分の姿がだぶって思い返された。
冷たく大きな腹がギシギシと前後に動くとチューブで繋がれた身体が淫らな麻薬に蝕まれたように悶え狂う。淫蕩に漂うような生易しいものではなく、ただひたすら叫び狂った。あの腹が、あの大きな腹が前後に動くたびに……。
冴子はじんわりとバギナが濡れてゆき、その場で股間を強く押えていた。