第一章 ポンプ-10
8
「冴子さんのバルトリンセン液を直に舐めさせてもらうよ」
「だめだめだめ! だめーええぇっ! 絶対にだめよっ!」
冴子の股間を覗きこむ小宮山に、磔られた姿のまま全てをかなぐり捨てるように絶対阻止の声をはりあげた。
汚れたままの体で、体液に塗れた股間を晒されて、なおかつ舐められるなどこれ以上の屈辱を受けることはなんとしてでも阻止しなければならない。
「お願いだからシャワーを浴びさせて! その後で見せてあげるから!」
この場だけを切り抜けるのに冴子は必死だった。
「君の匂いを直に嗅ぎたいんだ。女の生の匂いはどんなかなぁ、あはっ!」
性の探求と欲望が入り混じった小宮山のどんよりした顔が、変質者の嗤い顔になっている。もう小宮山は完全に以前の小宮山ではなかった。
手足を拘束されて秘部を開かされた冴子は、淫邪教の祭壇に捧げられた生贄だった。その運命を左右する司祭の小宮山が開かれた白い腿をおごそかな儀式を始めるようにゆっくりと撫でまわした。
「お願い……お願いだから……」
聞き入れられない懇願を無駄と解りながらも呟き続けるしかなかった。
小宮山の指が腿の付け根に添えられ、ゆっくりさする。開陰部を揉み解すようにだんだんと力をいれて広げてゆく。
「うっ……、うううっ!」
小宮山の無言が仔細に観察していることを物語っている。興奮の高まりを抑えながら冴子のバギナを血走った目で熱光線を浴びせるように見ている。
「拘束だけでも解いて……。お願い、くっ! 何しているの!」
バギナの下方にヌルリとした点が当てられる感覚がした。その点がゆっくりとバギナを遡上してゆくのが感じられる。
「あああ…、あっ、あっ! うううっ!」
舌先が当てられたことを感じて、冴子は遂に小宮山の暗い欲望の餌食にされることを悟り奈落の底に突き落とされた。だが、その落胆にひたることをゆるさないような淫悦がムクムクと湧き上がってきた。ヌルヌルとした尖った舌先がバギナを縫いあがり徐々にクリトリスに向っているのだ。
「あっ! だめ! だめえええぇっ!」
ジグザグに細かくゆっくり動きながら小宮山の舌が這いあがってゆく。頭部に引き上げられた足に力をこめて舌先から逃れるように腰を浮かせた。だが、淫者の舌先はその動きについて行こうと追ってくる。
「くわあああああっ! くうううっ!」
可動範囲の出来うる限りまで臀部を持ち上げるとスッと舐りが離れた。ジリジリと追い上げられて極限に達しそうになったが、何とか逃れることができて一気に脱力した。
「うーん、程よい塩加減だ。冴子さんの生の匂いがたまらないね」
「くっ! 変態!」
「僕は美味なものは、ゆっくり食す主義なんだ」
「デブ! 最低な豚野郎だわ!」
「ぐふふふっ! 豚に舐められる美女かぁ。いいねぇ、それ」
冴子が顔を起こして小宮山を見ると、開いた足の間から小宮山の顔が見下ろしながら嗤っている。大きな口を開けて舌を突きだしてネロネロと動かして見せた。負けじと睨みつけると、小宮山がそのままの顔で上目使いでこちらを見ながら股間に沈んでいった。
再びネットリした点先が当てられた。
「くうっ! んんんんんっ!」
先程よりも強く当てられているようだ。感じるものかと構えている分、感覚が鋭くなってしまい淫悦にさいなまされる。もう、汚れを気にしている余裕などなくなってきた。
汚れを舐め取られる屈辱よりも、ほんの舌先で欲情させられる恥辱のほうが恐ろしい。冴子は両手と両足に力をこめて思いっきり身体を引き上げて邪悪の口から逃れようとしている。
「うへへへえ、ひひひひっ!」
まるで子供が悪戯をするような声で、口を開いて舌を出したまま小宮山が発している。四つん這いの醜く腹を垂らせた肥満体の小宮山が、屈曲に拘束された冴子の股間に口をつける姿は、グロテスクで猥雑な構図だった。
「いやああああああっ! はなれろっ、豚がぁ!」
クリトリスに到達した舌先がジッとして冴子の反応を窺がっている。
「くっ! んんんんんんっ!」
動かない舌先に確実に身体が焦れている。屈曲された太腿に震えが走り出した。その反応を悟られまいと心が抑制しようとするが、すでに身体は制御不能に陥っている。やがて小宮山の欲情の炎となった舌先にチロチロと炙られて、固く尖った陰核が艶やかな矛先を立てていった。
「くわああああああっ! やめてええええっ!」
「うんぐふふふふふっ! う〜ら、こんなに!」
「ああああっ! いやっ! いやあああああっ!」
「いいひひひひひっ! 感じているじゃないかぁ、ええっ! こんなに膨らんでえっ! ええっ!?」
クルクルとクリトリスを舌でほじくられて、冴子は大きな波が押し寄せているのをどうすることもできなかった。腿の震えが全身に移り身体全体が引きつけを起こしていた。
「くわああああああっ! んんんんんっ! いいっ!」
ガックンと一気に脱力した冴子を見て小宮山が興奮して声をうわずらせて叫んだ。
「逝った! 逝かせたぞっ! 営業部の冴子様を逝かせたぞ!」