人は忘れじ-7
「梨乃は俺を見るたびにハルトを思い出すよ。
俺も梨乃をハルトに『彼女だ』って紹介できない」
「・・・・」
「俺たちは付き合ってもうまくいかない」
涙が出るのは、許してほしい。
今まで頑張ったんだから
最後通牒の今だけ。泣いてもいいよね。
どう頑張っても好きとは言ってくれない人。
たった一言でいいのに・・・・
「レン先輩。ラーメンは好きですか?」
「は?」
「答えてください。ラーメンは好きですか?」
「・・・・・好きだよ」
「学食の漬物は――――好きですか?」
(私のことは――――)
「・・・・・好きだよ」
「アスパラは――――」
(私のことは――――)
「好きだよ・・・・」
「エビは――――」
(私のことは――――)
「好きだよ」
涙があふれて止まらない。
「シナチクは――――」
(私のことは――――)
「好きだよ」
「学食のA定食は――――」
(私のことは――――)
「好きだよ」
ゆらゆらと揺れる瞳の向こうで
苦しげに笑いながら
好きだよと連呼するレン先輩が見えた。
「好きだよ」
その一言が欲しかった。