思ひそめてん-1
「れん・・・・せんぱ?」
「あんなふうにハルトが梨乃を傷つけるなら・・・・
俺が初めから梨乃を奪えばよかった」
「せんぱい?」
何を言ってるの?
レン先輩。
「レン?梨乃?」
同じお店にいたらしいハルト先輩がお店から出てきた。
気持ちがゆるぎたくない私はハルト先輩に会いたくなくて
逃げようとしたところを捕まった。
「待って。ずっと謝りたかったんだ」
「・・・・」
「あの日。ごめん。動転している麻子の話を聞いて俺も動転した。
大事な日だったのに。本当にごめん」
「・・・・」
「あれから梨乃に連絡が取れなくなって、改めて梨乃が好きだと感じたんだ。
俺たち、やり直せないかな」
「・・・・」
「梨乃」
じっと私を見るハルト先輩の瞳は揺れていて。
でも、ハルト先輩。
ハルト先輩が気づいたように。
私も気づいたことがあるんです。
「ハルト先輩。私は・・・・もうやり直せない」
「梨乃・・・」
ハルト先輩が忙しかったとき
ハルト先輩がデートに来られなかったとき
ハルト先輩が麻子さんと一緒にいたとき
私のそばにいてくれたのはレン先輩だったの。