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好きと言って
【女性向け 官能小説】

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思ひそめてん-5


「梨乃ちゃん。こんなところで何してるのかな〜?」

飲み会の席で楽しく飲んでいたのに
私の真後ろで悪魔の声がする・・・・
デジャヴ・・・かな?

無視だ・・・
無視が1番いい。
今の声は聞こえなかったことにしよう。

「梨乃ちゃぁぁ〜ん?」

無視だ。

「梨乃ちゃん、この前の人だよ?」
私がずっと無視をするもんだから
今まで一緒に話していたケンジクンが私の後ろを気にしだした。

「知らない人。気にしないで」
「ほ〜知らない人と来たもんだ?」

無視だ。無視。

「梨乃!何してるのかって聞いてんだよ」
うるさいな・・・・
「何って飲み会ですよ!分からないんですか?」
あ。まずい。答えちゃった。

「まぁ、今の俺たちには梨乃が何をしても
止める権利はないんだけどな。程々にしとけよ」

そう言うとレン先輩はポンと手を私の頭の上に置いた。
ほんとだよ・・・・
かまわないでほしい。
ほっといて欲しい。
私に・・・触らないで欲しい。

レン先輩を好きだと自覚した瞬間に玉砕しちゃったんだから。
ほっといて欲しい。

席に戻るレン先輩を目で追う。

なんだ・・・・

自分だって合コンじゃん。
冷めた目で、レン先輩の隣の女の子が
レン先輩の腕を撫でるのを見る。

胸が痛いのは
ヤキモチなんかじゃない。
胸が苦しいのは
レン先輩を好きだからじゃない。

「飲みすぎた」

レン先輩と女の子を見ていたくなくて
今回も早々に飲み屋をあとにした。

「今度はレン先輩の来ない飲み屋で飲もう」

そんなことだけを考えて
交差点の信号待ちをしていた。






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