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春眠の花
【フェチ/マニア 官能小説】

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は乃花-4

「治療の前に、こちらに着替えてください」

 スタッフの一人に指示された衣服に着替えると、私は全身を緊張させたまま分娩台と向き合い、早熟な少女のようにはにかんだ。

 腰を浮かせる……手をつく……腰掛ける……動揺する……寝そべってみる……力を抜く……右脚をかける……下唇を噛む……左脚をかける……また動揺する……唾を飲み込む……覚悟を決める……あきらめる……許す……すべてを彼らに委ねてみようと思う。

「そんなに怖がらないで、あなたがお母さんになるための準備なのですから」

 佐倉麻衣は言った。

 その気持ちに微笑み返したいのに、私の頬は引きつりそうになっている。

 分娩台に上がる。

 フォーマルな濃紺のスーツに、同色のスカート、パンティストッキングは黒を穿いて、エナメルのハイヒールも新品の光沢を黒光りさせている。

 ビリジアンのシュシュで髪を束ねて、すでに先ほどのメイクで顔もできあがっている。

 奇妙な組み合わせだと思った。

 出勤途中のOLが拉致されて、あぶない治療室で監禁状態となり、仕事でミスをしたペナルティとして凌辱を受ける。

 たぶんそんな設定なのだろう。

「なるほど」

 泉水医師はマスクをもごもごさせた。

「なにがですか?」

 私は尋ねた。

「小村さんのビジュアルは、ほんとうに申し分ない。僕はあなたの肉体に興味があり、ここにいるスタッフはみんな僕の指示で動いてくれます」

 彼がまわりに目配せすると、スタッフ全員が一様にうなずく。

「これから行なう治療は、女性器の活性化はもちろん、あなたのメンタルを誘導して、女性らしさを上げることを目的として取り組みます。どうかあなたもそのつもりでいてください」

 無理矢理に納得させられて、私は少しだけその気になっていた。

「まずはリンパの流れを改善するところからはじめましょう」

 彼の合図で動いたスタッフが器具を手に取ると、フォークとナイフがぶつかるような金属音が鳴った。

 太さは指二本分はあるだろうか、形状はボールペンに近い。

 彼女がそれをひねるとスイッチが入り、小さな振動音がヴヴヴと聞こえた。

「触ってみてください」

 スタッフに言われるままに器具の先端部分に触れると、疲労がほぐれていくような振動が指先から全身へと突き抜ける。

 ぞくぞくと、どきどきで、私は恥ずかしくなった。

 体調がおかしい──。


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