投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

春眠の花
【フェチ/マニア 官能小説】

春眠の花の最初へ 春眠の花 6 春眠の花 8 春眠の花の最後へ

い乃花-7

「点滴、もっと強く」

 泉水医師の語気が強くなり、現場に緊張がはしる。
 自分よりも年上の看護師らに次々と指示を出す。

「膣鏡、こっちへ」

 銀色の挿入器具が彼に手渡され、繊細な手つきでそれを私の膣内に差し込んできた。

「子宮口の状態を確認します。異常があるといけませんからね」

 その瞬間だけ、別の声色が喉元まで出かかっているのに気づいて、ぐっとこらえた。
 冷たい器具の感触に、私は切ない気分になっていた。

 局部は完全にその口をあけて、お尻の穴までもが拡張されたような錯覚に責められる。

「シリンジ」

 差し出された彼の手に、針のない注射器が渡る。
 そこに満たされた透明な液体を、私の性器の中へ滴下する。

「女性ホルモンを増やすために、ホルモン剤を塗布しています」

 医師の口調に起伏はない。おそらく正しい処置がなされているのだろう。

 彼は女性器をあつかう前に、人の命をあつかっているのだ。
 どれだけ怪しく思っても、何が何でも聞き分けのいい産婦を演じつづけるしかないのだから。

 それが絶対条件だとも言える。

「カテーテル、吸引して」

 一見して分娩とは関係のなさそうなこれらのやり取りも、すべてが経験の上に成り立っているのだろうか。

 的確な指の感触が、硬い器具の肌触りが、彼らの思惑通りに私を悩殺しようとしていた。

「せ……先生……」

「痛みを抑制する施術をしていきます。気になさらずに声を出してもらっていいんですよ」

 私の膣内から、ねちゃねちゃという音が聞こえはじめる。
 ハンバーグの下ごしらえで、ミンチ肉を手でこねるときのように、美味しくなあれ、美味しくなあれ、と混ぜられている感じがする。

 音につられて膀胱がくすぐられたり、一人でする『あれ』みたいな感覚にぞくっとしたりで、私の体はとても忙しい。

 そんな私の反応を目で追いながら、研修医や学生たちはメモを取る手に熱意を込める。

「小村さん、痛みはどうでしょう。落ち着いてきましたか?」

 看護師の佐倉麻衣が私の顔色をうかがう。


春眠の花の最初へ 春眠の花 6 春眠の花 8 春眠の花の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前