投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

初恋
【初恋 恋愛小説】

初恋の最初へ 初恋 0 初恋 2 初恋の最後へ

初恋-1

もう、冬が過ぎて、春が来て。ぶっ飛ぶような蒼い空は、夏の匂いを運んでる。
この空と、この匂いが、初めて君と出会った時を思い出させる。初めて好きになった君のことを…。

君は、俺が初めて付き合った人で、あれから違う人とも付き合ったけど、君が忘れられなくて。
ぐだぐだ考えてたら、あれからもう時は大分進んでいて、もう、将来に目を向けるような歳になった。
君は今でも夢に向かって進んでいるのかな…。


中学最後の夏だった。君は、とても一生懸命に部活に励んでいて、もう部活の終わった俺は、仲間を引き連れて、後輩の指導という名目で君を見ていた。
話したりもした。一緒にみんなで遊んだりもした。
みんなで公園で花火をして、いつもよりはしゃぐ君を見て、好きだという気持ちが強くなった。だけど、気持ちを伝えることは出来なかった。


秋になって、好きな気持ちに強くなった。
俺にもうちょっとの勇気があれば、告白できたかもしれないのに…。
馬鹿な友達に囲まれて、慰められて、励まされて、仲間のありがたさを知った。


秋の終わりに、俺は君と付き合った。
初めてだった。付き合うっていうのが分からなくて、いつも駄目なところを見せていた。君はいつも笑って
「大丈夫だよ」
って言ってくれた。

帰り道に、君は笑って夢を話していた。
まだ俺は夢なんか決まってなくて、ただ仲間と、君と一緒にいられればそれでいいと思ってたんだ。
もう寒さも厳しくなっていて、進路をみんな考え始めた。

違う進路…。考えてみれば当たり前のことだった。君はもう目標を持っていて、俺はなにも考えていなかったのだから。
俺は君に話した。一緒の高校に行こうって。今思うとなんと馬鹿な考えなのかと苦笑が浮かぶ。
君はうつむいて、なにも答えなかった。


もう、卒業も間近で、みんな残りの時を惜しみながら過ごしていた。
俺も仲間たちと遊ぶ回数が増えた。
今でも忘れない。友達と遊び、酔って夜空を眺めながら帰っていた時だった。

小刻みに震える電話、君の声。電話を切って、家に帰らずに友達の家に転がりこんだ。

友達は、情けないくらいに泣く俺を見て、なにも言わずに黙っていてくれた。その気遣いに胸が熱くなって、また泣いた。


受験も終わり、みんなで残された僅かな時を一緒に過ごした。
笑って、泣いて、ケンカして…。最高だった。
だけど、笑う君を見る度に、溜め息が出た。

最後に君を見たのは、卒業式の教室だった。君は、友達と楽しく、そして少し悲しそうに話していた。
そして感じたんだ。もう君の中に俺はいないって。
俺はその様子を、ただ見ることしか出来なかった。


君は夢を追って、この町を出ていった。俺は現実をとって適当な高校に進んだ。

遠くなってしまったのに、それなのに、君は強く、眩しく、色褪せずに俺の中に残っている。


初恋の最初へ 初恋 0 初恋 2 初恋の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前