『graduation〜ファイティングガール〜』-8
それなのに、都築先輩と付き合ってから、私は彼の帰りを待ってばかりだ。
何もしないで待つということばかり。
そして常に不安を感じる・・・どんなに努力しても勝てない気すらする。
敵が何なのかさえ、いや敵がいるのかさえ、分からない。
待つことも戦いなのですか?
「すぐ帰ってくるよね。」
自分に言い聞かせ、膝をかかえ、それに頭をのっけると、私は階段の上で目を瞑った。
この孤独な戦いは、一生続くのかもしれない。
ぼんやりとそう思った。
瞑ったまぶたの裏に桜の影がよぎった気がして目を開くと、先輩が息を切らして微笑んでいた。
「ただいま。亜紀。」
(終)