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貴女について思う幾つかのこと
【初恋 恋愛小説】

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様々なこと-7

「やけに遅かったな」
「ごめん。消灯までいて良いっていうから、海人や美咲と一緒だったんだ」
「どんな感じだ?」
「うん。後、一週間くらいで退院だろうって。おばさん、喜んでたよ」
「そうか、良かったな」

 僕の話に父も気分を良くしたみたいで、「俺は先に寝るからな」と言って、居間に引っ込んでしまった。

「おやすみなさい。僕もすぐに寝るよ」

 一人、キッチンに置かれた僕は、先ず晩ごはん、次にシャワーの順でさっさと済ますことにした。

(ちゃんと、しまっておいてくれたな)

 冷蔵庫の中には、一皿に盛られた鯵フライと千切りキャベツ、それにトマト一切れがにラップされて入ってた。
 今夜は晩ごはんを作れないからと、予め定食屋のおばちゃんに頼んでおいたのだ。

「いただきます……」

 ずいぶん遅れて晩ごはんを掻き込みながら、僕はさっき、沙織さんにもらった品を開けてみた。
 すると、紙箱の中から現れたのは、靴下でもハンカチでも無く、パンツだった。
 それも、身体にぴったりと貼り付くようなタイプで、黒地に白の水玉柄と白地に青のストライプ柄。僕にとって、かなり派手な代物だ。

(なんだ?こりゃ……)

 僕は多分、両手でパンツを広げ、口をぽかんと開けた間抜け顔をしてただろう。そのくらい呆れ返っている。

(これじゃ、履く意味ないじゃないか!)

 伸縮性ある薄い生地は、大事な部分の形を“丸分かり”にしてしまいそうだ。

(とはいえ、初めてのもらい物だし……)

 生まれてから十五年間。母以外の女の人、ましてやお礼とはいえ、好きな人からのプレゼントなんて一度もない僕にとって、これはとても貴重な代物だ。

(よし……試しに、履いてみようかな)

 僕は、急いで晩ごはんを片づけると風呂場へ向かった。右手に水玉のパンツを握りしめて。

(どんな感じになるのかな……)

 本来の目的である“洗う”の手を抜く。時間が惜しいので、身体と頭の洗いをさっさと切り上げて風呂から上がった。
 身体の水気を拭き上げ、僕は早速、パンツに足を通した。
 履くと思った通り、生地が伸びて身体にフィットして大事な部分は隠れてない。競泳水着並みの面積が、とても不安な気持ちになってくる。

(沙織さんは、どういう思いで僕にこれをくれたんだろう……)

 ふと、さっきまでのやり取りが思い浮かんだ。
 目の奥に灼けついた、輝く瞳と形が良くて赤い唇。そして、白くてふくよかな胸が甦る。

(ヤバい……)

 そう思っても、僕の感情はすでに歯止めが効かなかった。
 それは、ムクムクと起き上がってパンツから顔を出すと、天井を向いてしまった。


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